ブロデックの報告書

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  • サイズ B6判/ページ数 316p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622074403
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

内容説明

終戦直後の寒村で起きた集団殺人。その記録を命じられたのは人外に堕したことと引き換えに収容所を生き延びた「僕」だった…。円熟の小説家、待望の長編。2007年高校生ゴンクール賞受賞作。

著者等紹介

クローデル,フィリップ[クローデル,フィリップ][Claudel,Philippe]
1962年フランスのロレーヌ地方に生まれる。小説『忘却のムーズ川』(1999)でデビュー、その後もナンシー大学で文学と文化人類学を教えながら、『私は捨てる』(2000年度フランス・テレビジョン賞)『鍵束の音』(2002)など着実に作品を発表してきた。2003年、『灰色の魂』により三つの賞を受賞して注目を浴びる。『リンさんの小さな子』(2005)『子どもたちのいない世界』(2006)も話題を呼び、『ブロデックの報告書』では「高校生ゴンクール賞2007」を受賞した。さらに映画『ずっと前から愛している』(2008)を監督、戯曲『愛の言葉を語ってよ』(2008)もパリで初演されるなど活躍の場を広げている

高橋啓[タカハシケイ]
1953年北海道に生まれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

fseigojp

24
http://www.pulp-literature.com/chronological/ 世界文学年表(残念ながら2011年以降の記事が無いようだが)の21世紀枠に入っていたフラン人作家 フランスの忘却政策への批判のようだ イギリスの離脱も予見していると思われた 余所者への恐怖2016/06/21

ののまる

16
辛かった。ずっと「あなたは?あなたなら?どうしてたの?何ができたの?何をしたの?」と問い詰められている感じ。ナチスドイツ期の東欧かなと思って読んでいたけど、著者の出身である独仏国境が舞台のようだ。だけどここに露わになっているのは、空間や時間を超えてずっと横たわり続ける、人間の闇の部分。それが人の本性とは思いたくないけれど、私たちはその事例を現実のこととして、もうたくさん知ってしまっている。ということも、ずっと問われている時間だった。しかしこれが高校生ゴンクール賞を受賞していることで、ちょっと救いが。2016/05/27

きゅー

13
これほど引き込まれる読書は久しぶりだった。「僕はブロデック、この件にはまったく関わりがない。」という自己弁明めいた発言からはじまる、この物語がこれほど暗く、陰鬱な光を放つとは想像しなかった。彼が書く公的な「報告書」とは別に、事件のすべてを明らかにするために彼は思いつくままに文章を書き連ねる。少しずつ深みへと、人びとが怯懦や、慢心や、恐れのために手を下した事件の核心へと向かっていく。それにしても、読み進めながら私は怖かった。クローデルが私たちを逃げ場のない閉所へと追い詰めていくような感覚に囚われたからだ。2012/03/07

ぱせり

7
とてもしんどい本でした。この物語すべてを一人の人の心の中の葛藤の物語として読みました。わからない部分も含めて。そして、「憎しみから美が、純潔が、優雅が生まれることもある」というプップシェットの存在。おいぼれ犬だとずっと思っていたものが実は優美な狐だった。などが心に残ります。これを勝利と信じたい。何よりも大きな確かなものを取り戻したのだと。2010/09/29

まんぼう

6
共同体というのは平時には温かく親密で、社会性の動物である人間にとっては無くてはならないものであるが、同時にとても不安定で凶暴なものだ。それに脅威が及ぶとき、秩序を守るために生贄を作ることがしばしば起こる。人は不安や恐怖を暴力によって紛らわせる。脅威が去ったあとは、しょうがなかった事・無かった事として共同体は生き続ける。平時にそれを認めて見続けると、人間は、共同体は崩壊してしまうからだ。2025/06/10

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