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ゾリ

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  • サイズ B6判/ページ数 403p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622074151
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

1930年代、ナチスの影におおわれたスロヴァキアでファシストに家族を惨殺され、祖父とともに辛くも生き延びたジプシーの少女ゾリ。音楽を生業とする仲間との旅暮らしのなかで、歌にのせる言葉を紡ぎ出す楽しさを知った彼女は、ジプシーの掟で禁忌とされる読み書きをひそかに習い、天賦の詩の才能を開花させていく。そして戦後、社会主義政権下のブラチスラヴァで、ゾリは、革命詩人ストラーンスキーとイギリス人の翻訳家スワンに見いだされ、「完璧なプロレタリア詩人」として一躍文壇の寵児となる。詩を愛し、言葉の力が世界を変えると純粋に信じていた彼ら。しかし50年代のチェコスロヴァキアに訪れた政治的変化は一人ひとりの運命を狂わせていく―。激しく揺れ動く東西ヨーロッパの戦後史を生きた、ひとりの女の人生をあざやかに描く長編小説。

著者等紹介

マッキャン,コラム[マッキャン,コラム][McCann,Colum]
1965年、アイルランドのダブリン生まれ。地元のジャーナリスト専門学校卒業後、『アイリッシュ・プレス』紙などに記事を書く。小説家を志してアメリカに渡り、北米大陸を自転車で放浪、その後テキサス大学で英文学を学ぶ。93年に来日、京都と北九州で英語教師として働くかたわらアジア各国を旅する。94年頃からニューヨークで本格的に文筆活動をはじめる。2003年には『エスクァイア』誌のWriter of the Yearに選出。その他受賞歴多数。ニューヨーク在住

栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年東京生まれ。上智大学大学院文学研究科英文学専攻博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学教授、専攻は現代アイルランド文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

10
1930~2003年までのゾリという名のジプシー女性のフィクション人生記。「立ったまま埋めてくれ―ジプシーの旅と暮らし」に出てくる人物から着想を得ているらしくそちらはルポなので、ロマ文化に知識が無い分そちらを読めば良かったか。しかしヨーロッパにおけるロマ差別の酷さが身にしみた。2016/03/26

宮永沙織

9
世の中にファシズムが蔓延っていた時代にスロヴァキアで生まれたゾリは、一カ所に定住せず、家馬車を住まいに送るジプシーだった。6歳の時に、ファシストのフリンカ親衛隊が彼女の家族を皆殺しにした。たまたま生きていた祖父と親戚のグループと旅の暮らしを続けた。固有の文字を持たないロマニ語の文化は口伝えで、ロマにとって文字を学ぶのはタブーだったが、祖父は読み書きの能力をひそかに保ち、こっそり「資本論」を読んでいた。2010/11/14

Mana

4
実在したパプーシャ(小説ではゾリ)という女性をモデルにしたフィクション。彼女はジプシー初の詩人で、文字を読むことが掟で禁じられているジプシーの中において、資本論を読む祖父の方針で学校にも通っていた。戦後共産主義政権のロマ定住化政策の広告塔として「開かれたジプシー」のシンボルにされてしまい、ジプシー共同体から追放されてしまう。あくまで本書は小説だけど、結構ジプシーのことがしっかり書かれてるという印象。切実な感じが強く伝わってくる。2015/02/22

ほっそ

3
桜庭一樹の読書本で知った本。私には「難敵」でしたが、完読しました。 関連本を読まないと、内容を理解するにはちょっときついかもしれません2011/05/05

ひとみ

2
ファシスト政権下のスロバキアで家族を惨殺されたジプシーの少女ゾリは祖父と共にジプシーの社会で生きていた。文字を読み書きすることを厭うジプシーの掟に反し『資本論』を読む社会主義思想の持ち主だった祖父の教えで学校に通い文字の読み書きを習うゾリは詩才を開花させる。戦後に解放されるべき労働者による詩人として脚光を浴びたゾリだが、そのためにジプシーのコミュニティーから永遠に追放を言い渡されるのだった。…20世紀東欧が舞台の小説。ロマの文化に興味があったことから読んだが、差別の根深さに考え込む。2013/12/24

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