サンパウロへのサウダージ

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  • サイズ A5判/ページ数 203p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784622073512
  • NDC分類 389.62
  • Cコード C0010

出版社内容情報

ブラジルでしか出版されていない写真集『サンパウロへのサウダージ』を前半に、今福龍太がレヴィ=ストロースの写真を論ずる。

内容説明

レヴィ=ストロースが撮影したブラジル新興都市の街路に立ちこめる喪失と憧憬の感情。このサウダージの感触に導かれて、写真の謎を巡る思索は、人類学者の営みの根源へと至る輝かしき旅となる。

目次

Claude L´evi=Strauss(クロード・レヴィ=ストロース)(サンパウロへのサウダージ;写真解説(リカルド・メンデス)
ブラジルから遠く離れて―ヴェロニク・モルテーニュとの対話)
Ryuta Imafuku(今福龍太)(時の地峡をわたって)

著者等紹介

レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード][L´evi‐Strauss,Claude]
文化人類学者。1908年ベルギーに生まれ、フランスに育つ。1935年社会学教授として新設のサンパウロ大学に赴任。休暇中にカデュヴェオ族、ボロロ族の村を訪問。1936年最初の人類学の論文「ボロロ族の社会組織研究のための寄与」を発表。1941年戦火を逃れニューヨークへ渡り、ニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチで研究に従事。最初のブラジル行きから20年後の1955年、『悲しき熱帯』(中央公論社1977)を刊行。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。1982年退官

今福龍太[イマフクリュウタ]
文化人類学者、批評家。1955年東京に生まれ、湘南で育つ。1982年よりメキシコ・キューバ・ブラジルにて調査に従事。テキサス大学大学院博士課程を経て中部大学・札幌大学などで教鞭をとり、2005年から東京外国語大学大学院教授。その間、メキシコ国立自治大学、カリフォルニア大学サンタクルーズ校、サンパウロ大学で客員教授を歴任。現在サンパウロ・カトリック大学コミュニケーション・記号学科大学院客員教授として映像論/偶景論のセミナーを随時担当。同時に、キャンパスの外に新たな遊動的な学びの場の創造を求め、2002年より巡礼型の野外学舎である奄美自由大学を主宰(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

6
1935年のサンパウロをレヴィストロースが撮影した写真が、昔の香りがぜんぜんせず、宮本常一のスナップと同じ視線が感じられて、なんなんだろう、これは?の?を今福が綺麗に説き明かしてくれる。50年後にトリミング変更するって嫌いな人のすることじゃない。壁の木の隙間から部屋にあふれる光の、時を隔てての共鳴にはドキドキした。撮らなくなったレヴィストロースと、生涯撮りまくった宮本、その違いは何かを考えてみたくなる。ブラジル奥地の同行者の証言の中の現実生活の「不器用」というのがカギなのだろうな。2012/07/03

カネコ

4
2015/07/05

塩崎ツトム

3
後年、旅や冒険者と同じぐらいに写真を嫌ったレヴィ=ストロース。彼が切り取ったサンパウロのスカイラインと、現代のサンパウロの差。読んでいて時間の断層、観るものとみられるものとの断層にのしかかられてめまいがしてくる。2019/01/27

roughfractus02

3
前著では民族調査の写真が中心だったが、本書はサンパウロ大に招かれた著者が住む都市の写真が収められる一方で、同じ郷愁(サウダージ)なる語が添えられる。本書には植民地主義的人類学と写真の暴力の限界と可能性を見る訳者の写真と文が付され、他者の生をデータとして固定する西洋の歴史の暴力に対し、50年以上の時と感情によって距離を置く著者の戦略も理解できる。著者の5年後チェコから同大に亡命し、近代的主体をシステムの一部に組み込む装置としてカメラを捉えるV・フルッサーがサンパウロから西洋の没落を検討したことを重ねて読む。2018/08/18

メルセ・ひすい

2
★5  必読書 ・サウタージ⇒日本の <あわれ> に対応 ノスタルジアでは表現できない。1935年 27歳のストロースは新設のサンパウロ大学に招かれて、ブラジルの地に降り立った。彼の軌跡は、当時急速に勃興していた都市サンパウロと、消滅の危機に瀕する奥地の先住民社会とのあいだを往復するものだった。・・・ブラジル新興都市の街路に立ちこめる喪失と憧憬の感情を写し取った、レヴィ=ストロースの同名写真集に導かれ、今福竜太は彼の足跡を辿り始めた。写真を媒体に、人間の悲嘆と輝きとを露光する、2人の人類学者の深い共鳴の書2009/06/22

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