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内容説明
地球的規模の核戦争後、人びとは、汚染された地表から地下へのがれ、完璧に全体主義的な警察管理体制のもと築き上げられた〈世界国家〉の同輩兵士として暮らしている。言動を監視する〈眼〉と〈耳〉が職場や住居にはりめぐらされ、夫婦や親子の絆は捨て去るべきものとされる。情愛と忠誠の唯一の対象は〈世界国家〉でなくてはならないのだから。模範的同輩兵士で、化学者のレオ・カールは、その液剤を注射されると心の奥底に隠された思いや感情を吐露してしまう自白剤〈カロカイン〉を完成させる。人びとの思考や感情の統制までも可能にする〈カロカイン〉の発明によって成功への階を着実に昇ってゆくかに見えたレオ。強いられた自白はしかし、やがて思いもかけない方向へと展開を見せる…20世紀スウェーデンの国民的詩人ボイエの、散文の代表作。
著者等紹介
ボイエ,カリン[ボイエ,カリン][Boye,Karin]
1900‐1941。スウェーデンのヨーテボリに生まれる。ウプサラ大学でギリシア古典、古ノルド語を学び、在学中の1922年に初めての詩集を上梓。卒業後は、スウェーデン王立アカデミーなどから文学者や芸術家に与えられる奨学金を受けて、海外各地に学びながら詩作を続ける。1929年、左翼ラディカルの同志的な友愛で結ばれた相手と結婚するが、3年後に離婚。ソ連、ドイツ、チェコ、トルコ、ギリシアなどを旅しながら、詩にとどまらず、散文作品、T・S・エリオットやトーマス・マンの翻訳、評論など仕事の幅をひろげ、読者の支持を集めた
冨原眞弓[トミハラマユミ]
1954年生まれ。パリ・ソルボンヌ大学博士課程修了。Ph.D.(哲学)取得。聖心女子大学哲学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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