出版社内容情報
「環境」という言葉が生まれるはるか以前から、人間は自然とともに生きてきた。あるときは恐るべき敵として、あるときは魅惑するものとして。
人間は常に自然の影響を受け、寿命や身長、ものの見方や感じ方、時間や空間の概念に至るまで、環境とともに変化する。環境もまた客観的に存在するのではなく、それを見る人間の認識によって変化する。
だから環境の歴史は現代ではなく、原初からはじめられなければならない。本書があつかうのは新石器時代から、自然の征服、農村の生活、疫病、産業革命、エコロジーの発見、狂牛病まで。人類の歴史はそのまま「環境の歴史」なのだ。
<人文・社会科学と自然科学の間には、どちらからみても残念な障壁が存在するが、その障壁を低くする将来有望な動きの中に、この本を位置づけなければならない>(ジャック・ル=ゴフ)。自然環境そのものと、人間の認識をともにみることで、はじめて環境の本質がわかる。相互に変貌しつづける環境と人間との数千年に及ぶかかわりを壮大かつ厳密に描く、歴史学の達成。
R.ドロール(Robert Delort)
フランスの中世史学者。1932年生まれ。パリ第8大学・ジュネーヴ大学名誉教授。文学博士・理学士。中世ヨーロッパの交易史から出発し、その後一貫して自然環境を含めた歴史を描く。著書 La Moscovie au XVIe siecle, Paris, Calmann-Levy, 1965 ; Le Commerce des fourrures en Occident a la fin du Moyen Age, Rome-Paris, De Boccard, 1978-80, 2 vol . ; La Vie au Moyen Age, Paris, Ed. du Seuil, 1982 ; Les Elephants, piliers du monde, Gallimard, 1991(『象の物語――神話から現代まで』長谷川明・池田啓監修、南條郁子訳、創元社、1993);Les animaux ont une histoire, Paris, Ed. du Seuil, 1984(『動物の歴史』、桃木暁子訳、みすず書房、1998)ほか多数。
F.ワルテール(Francois Walter)
スイスの歴史学者。ジュネーヴ大学教授。1981年フリブール大学文学博士。チューリヒ連邦工科大学教授、フランス高等社会科学研究院客員教授、ゲッティンゲンのマックス・プランク歴史学研究所客員研究員などを歴任ののち現職。専門は近現代史。都市史、景観史、環境認識の歴史などを中心に研究を行う。著書 Les figures paysageres de la nation . Terriroire et paysage en Europe(16e-20e siecle), Paris, Editions de l’Ecole des Hautes Etudes en Sciences Sociales, 2004 ; La Suisse urbaine 1750-1950 . Geneve, Editions Zoe, 1994 ; Les Suisses et l’environnement . Une histoire du rapport a la nature du XVIIIe siecle a nos jours . Geneve, Editions Zoe, 1990 ほか多数。
感想・レビュー
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メルセ・ひすい
takao