故国喪失についての省察〈1〉

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  • サイズ A5判/ページ数 345,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622072034
  • NDC分類 934
  • Cコード C1010

出版社内容情報

本書はサイードの35年にわたる批評実践の集大成とも言うべき評論集である(全2冊)。本書1が収録するのは前半期の評論群。最初期の作品はメルロ=ポンティ論である。英文学の助教授としてキャリアを歩み始めたサイードがなぜメルロ=ポンティなのか。それに続くT・E・ロレンス、コンラッドとニーチェ、ヴィーコ、フーコー、オーウェル、ヘミングウェイ、グレン・グールド、ブラックマーらを扱った評論で、サイードは何を問題にしているのか。表題となり、全体を低通している「故国喪失」と批評実践の結びつきとは何か。

どの評論からも聞こえてくる、ゆるぎない一貫性をもったサイードの声を耳にするとき、真の批評実践とは何かという問いへの、ひとつの答えをそこに見出すだろう。完成品としての主著群からはむしろはっきりとは見えにくい、サイード批評のエッセンスにじかに触れているような手ごたえを堪能したい。

全2巻:第2巻は2006年夏刊行予定

内容説明

35年にわたる批評実践の集大成としての評論集。メルロ=ポンティからグレン・グールドまでを論じた17編を収録。故国喪失と批評のかかわりを軸に、サイード思想のエッセンスを伝える。

目次

批評と故国喪失
受肉の迷宮―モーリス・メルロ=ポンティ
未解決のアマチュア―E.M.シオラン
終わりなき内戦―T.E.ロレンス
偶然性と決定論のはざまで―ルカーチの『美学』
コンラッドとニーチェ
ヴィーコ―身体とテクストの鍛錬=学問に関して
どん底への観光旅行―ジョージ・オーウェル
黒幕―ウォルター・リップマン
信仰者にかこまれて―V.S.ナイポール
エジプトの儀礼
批評の未来
故国喪失についての省察
ミシェル・フーコー 一九二七‐一九八四
演奏された時を求めて ピアニスト芸術における存在と記憶―グレン・グールド
牛の角に突き殺されない方法―アーネスト・ヘミングウェイ
R.P.ブラックマーの地平
被植民者を表象する―人類学の対話者たち

著者等紹介

サイード,エドワード・W.[サイード,エドワードW.][Said,Edward W.]
1935年11月1日、イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。カイロのヴィクトリア・カレッジ等で教育を受けたあと合衆国に渡り、プリンストン大学卒業、ハーヴァード大学で学位を取得。コロンビア大学英文学・比較文学教授を長年つとめた。2003年9月歿

大橋洋一[オオハシヨウイチ]
1953年名古屋市に生まれる。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。専攻、英文学。東京大学教授

近藤弘幸[コンドウヒロユキ]
1969年奈良市に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得満期退学。専攻、英語演劇。東京学芸大学助教授

和田唯[ワダタダシ]
1970年大阪に生まれる。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学

三原芳秋[ミハラヨシアキ]
1974年東京都に生まれる。東京大学文学部卒業、同大学院人文社会系研究科修士課程修了。コーネル大学博士候補生(ABD)。専攻、英文学。お茶の水女子大学講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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sansdieu

0
タイトル以外、つまり「故国喪失」に直接関係しないエッセイも含まれている。ただし、サイード自身が故国喪失者の視点でエッセイを書いているので、どのエッセイも故国喪失の方に向いているとは言えるかもしれない。1〜5までは、抽象的で難解な理論的・文芸批評的エッセイが並ぶ。6以降で、これぞ、サイードと思わせるアクチュアルな批評としての切れ味が出て来る。必読の主著とは言えない。アイディアの良質な部分はインタヴュー集でも読める。しかし、サイードのことが好きな読者には、この著作もまた、刺激的だ。2025/06/22

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