内容説明
アラブ系新聞『アル=ハヤート』と『アル=アフラーム』に連載され、2000年9月の第二次インティファーダ勃発とオスロ体制の崩壊から、2003年3月のブッシュ政権によるイラク侵略開始と中東和平のための「ロードマップ」提示までの出来事を扱った、サイード最後の政治評論集。『戦争とプロパガンダ』(2002‐2003、全4巻)所収の27篇をふくむ全46篇。
目次
第1部 第二次インティファーダの開始、クリントンの失敗(包囲されるパレスチナ人;悲劇は深まる;アメリカの選挙―システムか茶番劇か ほか)
第2部 九月十一日、テロとの戦争、西岸とガザへの再侵攻(集団熱;反発と是正;無知の衝突 ほか)
第3部 イスラエル、イラク、アメリカ(イスラエル、イラク、アメリカ;ヨーロッパVS.アメリカ;イラクについての誤情報 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュン
9
パレスチナ系のサイードとユダヤ系のトニー・ジャットの友情には本当にホロリとくる。サイードのこの遺作には亡き友人へのジャットの長い序文がある。痛烈な批判に満ちた内容だが、サイードへの評価を惜しまない。そのジャットもALSで亡くなられた。「イスラーム教徒のアラブ人が圧倒的に多いパレスチナ人の「スポークスマン」をやむをえず買って出たこの人物は、ナザレ出身のバプテスト派信徒で一九三五年に生まれた、聖公会派のキリスト教徒だった」。繰り返しになるがサイードの理解者であったジャットはユダヤ人だった。2021/05/14
Ecriture
7
弱っていく体の内に衰えぬ知性・怒り・ジャーナリズム精神を発揮したサイード晩年の仕事。パレスチナ・イラク・イスラエル・アメリカ問題に潜む報道の非対称性、オスロ体制が要求する卑屈な隷従、無言の内に虐殺や戦争犯罪に加担するアメリカ国民、オスマン帝国時代から続く民族性を忘れたアラブ人、「ロードマップ」によるパレスチナ領土割譲と囲い込み(監獄化)、など彼の怒りと鼓舞は実に多岐に渡る。これに水を差すと過激な反応を受けそうだが、きれいな"us and them"構造になっているとも思う。モビーディックの件に明らか。2012/10/27
takao
3
ふむ2024/04/13
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