内容説明
愛・結婚・性・老年・金銭・才能・親子の問題・戦争と平和・進歩・知識・科学・教育等々、人生のあらゆる情景、現代のさまざまな問題について、哲学者ラッセルがすばらしい相談相手となる。ここに収められた78篇のエッセイのどのページを開いてみても、いま自分自身が直面する難儀にたいする、あるいは文明社会の抱える病弊にたいする的確な診断が見出され、生きる知恵と勇気と、時には慰めと喜びすら与えられるであろう。ここでは、プラトンのいう“時代を超越して万物を見る哲学者”の眼と、教育者、社会改革論者、平和運動家としてのラッセルの多彩な生活体験とが、みごとに生かされている。不況と不安の30年代アメリカの新聞に連載されたコラムであり、いわばラッセルの『天声人語』といった趣きの、知性とウィットにあふれる人生の処方箋。
目次
嫉妬について
性関係と幸福と
外国で嫌われる旅行者
老年の脅威
技巧礼讃
口紅を使ってよい人々
経験の教え
希望と恐怖
犯罪人は一般人よりも悪人か
臆病が勝〔ほか〕
著者等紹介
ラッセル,バートランド[ラッセル,バートランド][Russell,Bertrand]
1872‐1970。イギリスの哲学者。17世紀以来のイギリスの貴族ラッセル家に生れる。ケンブリッジ大学で数学・哲学を学んだ。1910‐13年にはホワイトヘッドと共に画期的な著作『プリンキピア・マテマティカ』(3巻)を著わし、論理学や数学基礎論に貢献した。第一次大戦が勃発するや平和運動に身を投じて母校の講師の職を追われ、1918年には4カ月半投獄される。以後社会評論や哲学の著述に専念し、ヴィトゲンシュタインとの相互影響のもとに論理実証主義の形成によって大きな影響を与えた。1950年哲学者として3度目のノーベル文学賞受賞。また原爆禁止運動の指導者のひとりとして99歳の生涯を閉じるまで活動を続けた
中野好之[ナカノヨシユキ]
1913年東京に生れる。1955年東京大学経済学部卒業
太田喜一郎[オオタキイチロウ]
1935年東京に生れる。1970年立教大学文学研究科英米文学専攻博士課程修了。元立教女学院短期大学教授
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