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アドルノの場所

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  • サイズ A5判/ページ数 262p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622071242
  • NDC分類 361.234
  • Cコード C1010

出版社内容情報

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昨年(2003年)、アドルノ生誕100年を迎え、近代の啓蒙と野蛮を鋭くあぶり出したこの思想家の著作と、その批判理論のアクチュアリティが、ますます真摯に問いなおされようとしている。

そのなかで著者は、初期の講演「自然史の理念」から後期の『否定弁証法』まで、アドルノの一貫したモティーフでありつづけた「自然史」に焦点をあて、複雑に錯綜するアドルノの思想を解きほぐしていく。

「歴史的に生成した制度や慣習が「第二の自然」へと物象化される事態を見据えるとともに、歴史とは無縁なはずの自然のなかにも時間的・歴史的な契機を確認しようとする視座、それが「自然史」という発想である。」(本書より)

自然(太古から不変のもの)と歴史(新たに生起するもの)の対立を廃棄し、「自然と歴史の宥和」から照射される非同一的なもの、破片、アレゴリーのなかに、移ろいゆくものとしての自然史の理念を救出する。カント、ヘーゲル、マルクス、フロイト、フッサール、ハイデガー、ルカーチ、ベンヤミンといった思想家たちの、星座的布置におけるアドルノの「場所」を探り、周到な問題設定と、テクストの襞に分け入る詳細な読解で、今日のグローバリゼーションやネオリベラリズム批判にも通じるアドルノ思想の現代性を問う、渾身の力作
細見和之(ほそみ・かずゆき)

1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。現在、大阪府立大学総合科学部助教授。専攻はドイツ思想。詩人。著書:『アドルノ〈現代思想の冒険者たち15〉』(講談社、1996年)、『アイデンティティ/他者性〈思考のフロンティア〉』(岩波書店、1999年)、『バイエルの博物誌』(詩集、書肆山田、1995年)、『言葉の岸』(詩集、思潮社、2001年)ほか。訳書:アドルノ『認識論のメタクリティーク』(共訳、法政大学出版局、1995年)、アドルノ『社会学講義』(共訳、作品社、2001年)、ベンヤミン『パサージュ論 II、V』(共訳、岩波書店、1995年)、カツェネルソン『滅ぼされたユダヤの民の歌』(共訳、みすず書房、1999年)ほか。

内容説明

アドルノ生誕101年に贈る、気鋭の力作。自然と歴史をともに相対化し、各々の宥和をめざす「自然史」の理念を軸に、錯綜するアドルノ思想を横断的に読みとく。

目次

アドルノにおける自然と歴史―講演「自然史の理念」をめぐって
アドルノのフッサール論を表象する試み―『認識論のメタクリティーク』にそくして
メタクリティークのクリティーク―アドルノのカント批評
アドルノのハイデガー批判、そのいくつかのモティーフについて
テクストと社会的記憶―アドルノのハイネ論にそくして
社会批判としての社会学―アドルノ『社会学講義』によせて
思考の「遅れ」について―『啓蒙の弁証法』「5 反ユダヤ主義の諸要素―啓蒙の限界」を読む
“自然史”の理念再考―アドルノとヘーゲル、そしてマルクス
アドルノの場所―「アドルノ国際会議」に参加して

著者等紹介

細見和之[ホソミカズユキ]
1962年生まれ。大阪大学大学院人間科学研究科単位取得退学。大阪府立大学総合科学部助教授。専攻はドイツ思想。詩人
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感想・レビュー

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ミッキー・ダック

5
なぜ「アウシュビッツ」が起こったのか。アドルノは様々な「反ユダヤ主義」の原因を分析しているが、特定の歴史的背景に起因するものでなく、近代文明に内在するという指摘が重要である。近代の競争社会は、内なる自然である欲望・衝動の支配・抑圧を前提とするが故に、自然は秩序を乱す「恐るべき自然」(生理的拒否反応)として現れる。社会は、その秩序を歪める者(ユダヤ人)に対し不寛容であり、暴力的にならざるを得ない。そして絶えず反省する理性により、恐るべき自然と宥和する社会が構想されねばならないというのだが、明確な答えはない。2012/08/16

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