出版社内容情報
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〈今日という地平では、一つの塊のような対象、一つの出来上がったメッセージと向き合うことは堪えがたい。物も人も、在って無きがごとくの在りようが好ましい。むしろ向き合うことなしに、間を意識すること、ひいては見えないがより大きな辺りの時空間をこそ感知し、そこにおのれを解放したいのである。〉
作品を通じて、凝固した空間の塊の中に人間と響き合う世界を組み立てる現代美術作家が、絵筆と鑿に換えてペンをとる時、その筆致は、あまりに人工、清浄、整然に過ぎた都市に罅を入れ、あまりに透明になった人間の奥底に潜む野生を引きずり出す。刻んできた時の狭間をわたる自伝的エッセイ集。
内容説明
作品を通じて、凝固した空間の塊の中に人間と響き合う世界を組み立てる現代美術作家が、絵筆と鑿に換えてペンをとる時、その筆致は、あまりに人工、清浄、整然に過ぎた都市に罅を入れ、あまりに透明になった人間の奥底に潜む野生を引きずり出す。刻んできた時の狭間をわたる自伝的エッセイ集。
目次
1 時の狭間(蛙;春先;カヨちゃん ほか)
2 旅行と出来事(東京にて;記憶;美食 ほか)
3 芸術の周辺(四分三十三秒―ジョン・ケージに;絵が描けない日;アトリエ ほか)
4 因縁と歳月(歳月;鐘幻;赤トンボ ほか)
著者等紹介
李禹煥[リウファン]
美術家。1936年、韓国慶南地方に生まれる。文人として知られた黄東樵から幼年期を通して詩・書・画を教わる。1956年、ソウル大学校美術大学を中退し、来日。1961年、日本大学文学部卒業。1967年、東京・サトウ画廊にて新しい試みの最初の個展、以後、前衛的な芸術表現を追求しながら国際的に活躍。1968年頃から起こった「もの派」運動の柱として知られ、パリ・ビエンナーレ、カッセル・ドクメンタ他多くの国際展に出品、デュッセルドルフ・クンストハーレ、パリ・ジュ・ド・ポム美術館、神奈川県立近代美術館をはじめ、国内外の美術館などで個展。前パリ国立エコール・ド・ボザール招聘教授、多摩美術大学教授
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