時の震え

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  • サイズ A5判/ページ数 248p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622071174
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C1071

出版社内容情報

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〈今日という地平では、一つの塊のような対象、一つの出来上がったメッセージと向き合うことは堪えがたい。物も人も、在って無きがごとくの在りようが好ましい。むしろ向き合うことなしに、間を意識すること、ひいては見えないがより大きな辺りの時空間をこそ感知し、そこにおのれを解放したいのである。〉

作品を通じて、凝固した空間の塊の中に人間と響き合う世界を組み立てる現代美術作家が、絵筆と鑿に換えてペンをとる時、その筆致は、あまりに人工、清浄、整然に過ぎた都市に罅を入れ、あまりに透明になった人間の奥底に潜む野生を引きずり出す。刻んできた時の狭間をわたる自伝的エッセイ集。

内容説明

作品を通じて、凝固した空間の塊の中に人間と響き合う世界を組み立てる現代美術作家が、絵筆と鑿に換えてペンをとる時、その筆致は、あまりに人工、清浄、整然に過ぎた都市に罅を入れ、あまりに透明になった人間の奥底に潜む野生を引きずり出す。刻んできた時の狭間をわたる自伝的エッセイ集。

目次

1 時の狭間(蛙;春先;カヨちゃん ほか)
2 旅行と出来事(東京にて;記憶;美食 ほか)
3 芸術の周辺(四分三十三秒―ジョン・ケージに;絵が描けない日;アトリエ ほか)
4 因縁と歳月(歳月;鐘幻;赤トンボ ほか)

著者等紹介

李禹煥[リウファン]
美術家。1936年、韓国慶南地方に生まれる。文人として知られた黄東樵から幼年期を通して詩・書・画を教わる。1956年、ソウル大学校美術大学を中退し、来日。1961年、日本大学文学部卒業。1967年、東京・サトウ画廊にて新しい試みの最初の個展、以後、前衛的な芸術表現を追求しながら国際的に活躍。1968年頃から起こった「もの派」運動の柱として知られ、パリ・ビエンナーレ、カッセル・ドクメンタ他多くの国際展に出品、デュッセルドルフ・クンストハーレ、パリ・ジュ・ド・ポム美術館、神奈川県立近代美術館をはじめ、国内外の美術館などで個展。前パリ国立エコール・ド・ボザール招聘教授、多摩美術大学教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

takao

3
ふむ2024/01/22

蘇芳

2
よく目にする作家の雑文集。空間や場の感受性の高さになるほどと思いつつ、糞の話や韓国人の意識の話が思いの外多かった。2011/06/28

ルートビッチ先輩

0
もの派を代表する現代美術家によるエッセイ集。身辺雑記や追憶が多く、エッセイとして単品で楽しむこともできるが、一貫して『余白の芸術』など芸術論にも連続する論理が流れているところも面白い。常に彼の作品は作者から鑑賞者へ創造の場面を譲り渡すように作られているが、それは彼が日常で出会う料理や事件、人物と接する際に念頭に置かれている態度でもあるようだ。そうした態度は作者という権力を否定することにつながるが、まわりの人々の熱中に少し距離を置くようなユーモアはその戦略であり、単に面白いというわけでもないように思われる。2015/12/10

miha

0
memo 全体の流れとしては随筆的文章から始まり中盤は作品の内容に関わる雑記、そして韓国の政治の話で終わる。 2013/07/07

とりこ

0
おもしろくてびっくり。美術作品が素晴らしいのはもちろん、やさしい言葉でよくしゃべる対談動画に好感を持ち、何か読んでみたくて手に取った、エッセイ集?幼少期の韓国の生活、混乱の時代に受けた拷問、美食がやめられなくて体をこわした話、女性絡みのちょっとした思い出、作品制作の合間に感じたこと、ビルの建設現場を見るのが好きなこと。落差ありすぎるテーマをどこか俯瞰したような、でも欲望にまみれているような、飄々と書いている。だから世界を渡り歩くのか、渡り歩くからこうなるのか。こんな本こそ持ち歩いて文庫本で読みたい!2022/11/24

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