デュラス、映画を語る

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  • サイズ B6判/ページ数 241p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070634
  • NDC分類 778.04
  • Cコード C1074

出版社内容情報

〈野性的〉。この形容句からすぐにマルグリット・デュラスの映画を連想できるとしたら、あなたはかなり映画に毒されている、と診断せざるをえない。そんなあなたにも、そしてもちろん、この言葉に首を捻ってしまうあなたにはぜひ、デュラスという天才作家が自らの「映画渡世」を告白するこのインタビュー集の御一読をお奨めしたい。

誰もが知っているデュラスのあの知性と緑と黄で構成された未明の世界がフィルムを介して「会合」するとき、銀幕は未曾有の〈野性〉に容赦なく蹂躙される。デュラスの真髄はそんな「欲望の彼方」にある。だがあくまで文化的な産物にすぎない映画を〈野性〉によって「巨大な破壊の建設」となす、つまり「世界が破滅に向か」うためには、巧妙な技術と大胆な意志が不可欠だ。それらを持ちえるのは「女、ただ女だけ」と、デュラスは呟く。この「義憤」こそ現代映画にとって何より重要だという事実を、本書は明かしている。――青山真治(映画監督)


* * *


『愛人』で知られる20世紀最大のフランス人女性作家は、ゴダールが『映画史』でオマージュを捧げたように、極北の映画作品を遺した映像作家でもあった。本書で語られるのは『インディア・ソング』ほか主要8作品の創造過程。デュラスの家で、また撮影現場を歩きながら作家ノゲーズと交わされる会話に、ときおりジェラール・ドパルデュー、デルフィーヌ・セイリグ、ブリュノ・ニュイッテンなどゲストが加わるのも楽しい。図版112点。巻末にフィルモグラフィ。


Marguerite Duras(マルグリット・デュラス)
1914年、ヴェトナム(旧仏領インドシナ)ギアダンに生まれる。1932年、大学教育を受けるためパリへ移住。1943年『あつかましき人々』で作家デビュー、1951年『太平洋の防波堤』で地位を確立した。1984年『愛人』でゴンクール賞受賞。映画では『二十四時間の情事』(アラン・レネ、1960)をはじめ他の監督のために数本のシナリオを書いた後、1961年『ラ・ミュジカ』で監督デビュー。『インディア・ソング』(1974)『ヴェネツィア時代の彼女の名前』(1976)『トラック』(1977)『大西洋の男』(1981)など、トーキー映画史を画する19本の作品を残して1996年没。

Dominique Noguez(ドミニク・ノゲーズ)
1942年、ボルベック(セーヌ=マリチーム)に生まれる。1968年、高等師範学校卒業。作家、パリ第一大学教授(文学研究、映画美学)。著書Le Cinema autremaent(1977)、Trente ans de cinema experimental en France 1950-1980(1982)、Les Trois Rimbaud(1986年、邦訳『三人のランボー』ダゲレオ出版)、Lenine Dada(1989年、邦訳『レーニン・ダダ』ダゲレオ出版)、Duras,Marguerite(2001)ほか。

岡村民夫(おかむら・たみお)訳
1961年横浜に生まれる。1985年立教大学文学部フランス文学科卒業。現在、法政大学教授。表象文化論、フランス現代思想。共著『「注文の多い料理店」考』(五柳書院)『スイスの歴史と文化』(刀水書房)『映画批評のリテラシー』『映画史を学ぶクリティカル・ワーズ』(以上フィルムアート社)ほか。

内容説明

『愛人』で知られる20世紀最大のフランス人女性作家は、ゴダールが『映画史』でオマージュを捧げたように、極北の映画作品を遺した映像作家でもあった。本書で語られるのは『インディア・ソング』ほか主要8作品の創造過程。作家ノゲーズと交わされる会話にドパルデュー、セイリグなど関係者が加わるのも楽しい。図版112点。

目次

『ナタリー・グランジェ』―対話・暴力の階級(家;テクストと映像 ほか)
『インディア・ソング』―対話・言葉の色(生きがたいものの使者;彼らは同じ人たち ほか)
『ヴェネツィア時代の彼女の名前』―対話・イギリス人墓地(破壊された『インディア・ソング』;死の表面 ほか)
『トラック』―対話・イヴリーヌの貴婦人(前進するという喜び;トラックの貴婦人 ほか)
『セザレ』『陰画の手』『オーレリア・シュタイネル(メルボルン)』『オーレリア・シュタイネル(ヴァンクーヴァー)』―対話・暗黒の洞窟(隔離された女ベレニス;人間の植民地的条件 ほか)

著者等紹介

デュラス,マルグリット[デュラス,マルグリット][Duras,Marguerite]
1914年、ヴェトナム(旧仏領インドシナ)ギアダンに生まれる。1932年、大学教育を受けるためパリへ移住。1943年『あつかましき人々』で作家デビュー、1951年『太平洋の防波堤』で地位を確立した。1984年『愛人』でゴンクール賞受賞。映画では『二十四時間の情事』(アラン・レネ、1960)をはじめ他の監督のために数本のシナリオを書いた後、1961年『ラ・ミュジカ』で監督としてデビュー。トーキー映画史を画する19本の作品を残して1996年没

ノゲーズ,ドミニク[ノゲーズ,ドミニク][Noguez,Dominique]
1942年、ボルベック(セーヌ=マリチーム)に生まれる。1968年、高等師範学校卒業。作家、パリ第一大学教授(文学研究、映画美学)

岡村民夫[オカムラタミオ]
1961年横浜に生まれる。1985年立教大学文学部フランス文学科卒業。現在、法政大学教授。表象文化論、フランス現代思想
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

mak2014

1
デュラスに映画監督作品についてノゲーズがインタビューした刺激的な一冊。小説は大半読んだが映画は一作しか見ていないが無性に見たい気持ちに。小説、特に後期のものは言葉数の少なさとは対照的に行と行の間もじっくり味あわなくてはいけない。映画も映像として見えるものではないものを見ようとしなければ。印象的だったのはデュラスがJ.モローについて語った箇所。「食卓をかたづける」という一見目立たないことが大女優とその他の差とモローを絶賛。笠智衆が田中絹代について洗濯物をたたむ場面でその凄さを語っていたことに通じるのだろう2016/02/26

OraInuchan

0
通読2回目。2021/10/16

ひかり

0
「…ピアノが弾かれると、話す必要がない。 オーケストラにあわせてなら、話すことができるけど、 ピアノにあわせてだとだめね。 なぜなら、これはつまるところ声に非常に近い楽器だから。」2018/02/22

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