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アーレント=ハイデガー往復書簡―1925‐1975

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  • サイズ A5判/ページ数 330,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622070559
  • NDC分類 311.234
  • Cコード C3010

出版社内容情報

「どうしても今晩のうちに出かけていって、あなたの心に語りかけずにはいられません」。マールブルク大学の教授ハイデガーは、入学まもない女子学生に一目で恋をし、1925年2月、この最初の手紙を書いた。

本書に切り取られた時間は50年。その間、三つの「高まり」の時期があり、本書もそれに沿って構成されている。第一期は最初の恋の体験。それはおずおずと内気だったアーレントにとって、「カプセル」内で孤立する自縛からの解放であり、ハイデガーにとっては、「デモーニッシュなもの」に掴まれた体験で、彼はこの力を『存在と時間』の執筆に創造的に活用することになる。

第二期(再会)は、時代の政治状況に起因する20年の休止期間を経て1950年から数年。とくにハイデガーの手紙は、この時期の彼の伝記的事実にかんする宝庫である。

第三期(秋)はアーレントの死まで、最後の10年。「人生からの引退」が双方の心を占め、基調底音は「静けさ」であった。アーレントの『精神の生活』はこの時期に構想されている。

ふたりにとって、「仕事」と「人生」がどれほど強く綯い合わされていたか、本書はそれを納得させてくれる。さらに、「判断の国の女王」(ルッツ)と「思索の国の王」のダイアローグは、20世紀精神史のなかでモザイク状だったふたりの肖像を完成させ、ヤスパースやメルロ=ポンティなどとの関係と布置についても、さらに多くを明らかにするだろう。


Hannah Arendt(ハンナ・アーレント)
1906年、ドイツのハノーファー近郊リンデンに生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。ナチス政権成立後(1933年)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救援活動に従事。1941年、アメリカに亡命。バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の客員教授を歴任、1967年、ニュー・スクール・フォア・ソーシャル・リサーチの哲学教授。1975年歿。 著書『アウグスティヌスの愛の概念』(1929、 みすず書房 2002)、『全体主義の起原』1-3(1951、 みすず書房 1972、 1972、1974)、 『人間の条件』(1958、筑摩書房 1994)、『イェルサレムのアイヒマン』(1963、 みすず書房 1969)、『過去と未来の間』(1954、 1968、 みすず書房 1994)、『ラーエル・ファルンハーゲン』(1959、 みすず書房 1999)、『暴力について』(1963、 みすず書房 2000)、『アーレント政治思想集成』1・2 (1994、 みすず書房 2002)ほか。

Martin Heidegger(マルティン・ハイデガー)
1889年、ドイツのメスキルヒに生まれる。マールブルク大学助教授(1923-28)、フライブルク大学教授(1929-45)。1933年には同大学学長を務める。1945年、ナチス政権との関係のために教職活動を禁止され、51年復職と同時に退職。1976歿。著書『存在と時間』(1927、 ちくま学芸文庫 1994)、『カントと形而上学の問題』(1929、 理想社 1967)、『根拠の本質』(1929、 理想社 1939)、『ヘルダーリンの詩作の解明』(1937、 創文社 1997)、『「ヒューマニズム」について』(1949、 ちくま学芸文庫 1997)、『形而上学入門』(1953、 平凡社ライブラリー 1994)、『ニーチェ Ⅰ 美と永遠回帰』『ニーチェ Ⅱ ヨーロッパのニヒリズム』(1961、 平凡社ライブラリー 1997)、『ツォリコーン・ゼミナール』(ボス編 1987、 みすず書房 1991)ほか多数。 なお、「ハイデッガー選集」(理想社)と「ハイデッガー全集」(創文社)が刊行されている。


訳者:
大島かおり(おおしま・かおり)
1931年に生まれる。東京女子大学文学部卒業。訳書 アーレント『全体主義の起原』2・3(共訳)、スレーリ『肉のない日』、フィールド『天皇の逝く国で』、エティンガー『アーレントとハイデガー』、アーレント『ラーエル・ファルンハーゲン――ドイツ・ロマン派のあるユダヤ人女性の伝記』(いずれも、みすず書房)ほか。

木田 元(きだ・げん)
1928年に生まれる。東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授。著書『現象学』『ハイデガー』『メルロ=ポンティの思想』『哲学と反哲学』『ハイデガーの思想』『ハイデガー「存在と時間」の構築』『偶然性と運命』(以上、岩波書店)、『哲学以外』(みすず書房)、『最終講義』(作品社)、『マッハとニーチェ』(新書館)、『闇屋になりそこねた哲学者』(晶文社)。訳書 フッサール『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』(共訳、中央公論社)、アドルノ『否定弁証法』(共訳、作品社)、ハイデガー『シェリング講義』(共訳、新書館)、メルロ=ポンティ『政治と弁証法』『眼と精神』(共訳、みすず書房)ほか。


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-アーレントの本-
『アーレント政治思想集成』全2巻
『アウグスティヌスの愛の概念』
『イェルサレムのアイヒマン』
『過去と未来の間』
『暴力について』
『全体主義の起原』全3巻
関連書:
矢野久美子 『ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所』

内容説明

女子学生と教授の「情熱的な恋」にはじまり、20世紀半ばの「暗い時代」の試練をこえて50年間、卓越したふたりの思想家が育んだ関係、深めた対話。その全貌がここにはじめて封印を解かれる。

目次

一九二五‐七五年の手紙とその他の文書(まなざし;再会;秋;エピローグ)
補遺(文書1から168までについての注記;遺稿からの補足的記録文書;編者のあとがき)

著者等紹介

アーレント,ハンナ[アーレント,ハンナ][Arendt,Hannah]
1906‐1975。ドイツのハノーファー近郊リンデンに生まれる。マールブルク大学でハイデガーとブルトマンに、ハイデルベルク大学でヤスパースに、フライブルク大学でフッサールに学ぶ。ナチス政権成立後(1933年)パリに亡命し、亡命ユダヤ人救援活動に従事。1941年、アメリカに亡命。バークレー、シカゴ、プリンストン、コロンビア各大学の客員教授を歴任、1967年、ニュー・スクール・フォア・ソーシャル・リサーチの哲学教授

ハイデガー,マルティン[ハイデガー,マルティン][Heidegger,Martin]
1889‐1976。ドイツのメスキルヒに生まれる。マールブルク大学助教授(1923‐28)、フライブルク大学教授(1929‐45)。1933年には同大学学長を務める。1945年、ナチス政権との関係のために教職活動を禁止され、51年復職と同時に退職

大島かおり[オオシマカオリ]
1931年に生まれる。東京女子大学文学部卒業

木田元[キダゲン]
1928年に生まれる。東北大学文学部卒業。中央大学名誉教授
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Iwata Kentaro

4
すごく面白い。手紙は時代の息吹を感じさせるし、旅行の描写が特にいい。立場が全く異なる二人の長い愛の姿。戦後もずっとアーレントはハイデガーを慕ってたとは知らなかった。アーレントとハイデガー夫人の関係もなんか分からないー。2019/08/09

0
まずこのお2人に関する知識がなければ理解は難しいのではと痛感させられました。 ただ、これを読んでいて思ったことは、2人は共に家族はいるけれど…ということですね。ただの哲学者2人ではない。どんなに関係を学んだところで結局は本人たちにしか分からないものは沢山あるけれど、見ていてこれはもう、と思える所は実は沢山あるのだと認識させてくれました。 それから自分の勉強不足。知識は必要ですね…。2016/12/09

瀧本往人

0
じっくりと読みたい1冊。妻のいる大学教師が若き教え子に手を出したというスキャンダル的要素が風化され、むしろ二人のやりとりの襞にある「20世紀精神史」を丹念に読み込む作業が要求されている。http://ameblo.jp/ohjing/entry-11464724441.html2013/02/06

大林ひろし

0
ゴシップ2。詩を綴るハイデガー。2012/05/03

yanagihara hiroki

0
19歳の大学生に既婚者である36歳の大学私講師が熱烈アプローチをする気持ち悪さが、存在者が現存在である皮相さに耐えかね、存在への「企投」を必要とするというナチズムへの傾倒と同じ論理(「真実の愛」)によって正当化されてしまっている。アーレントの言うように思索には距離をとることが必要である以上、ハイデガーのような孤立した思索者は誰からも排除され続けなくてはならない。そして、その事実にいずれ耐えかね、企投は暴力的跳躍になる。 この50年の交流がグロテスクなだけで終わらないのはアーレントの粘り強さのお陰である。2022/04/11

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