内容説明
イラク戦争とは何だったのか。アメリカは、いやアメリカを牛耳ろうとしているウォルフォウィッツ、パール、ラムズフェルドをはじめとするネオコン第二世代とブッシュは、他者への理解などおかまいなしに、中東地図をどう塗り替えようとしているのか。そこに登場するカナン・マキヤとは?一方、アメリカはそれほどまでに無力で一元的なのか。もう一つのアメリカがあるのではないか。現実をみつめるサイードの眼は、曇りがない。好評の『戦争とプロパガンダ』シリーズ第4弾、「ヨーロッパvs.アメリカ」「イラクについての誤情報」「緊急課題」「ゆるしがたい無力」「偽善の金字塔」「責任者は誰だ?」「もう一つのアメリカ」「ラガドのアカデミー」の8本(2002.11‐2003.4)を収録。今の世界て起ころうとしていることを、サイードとともに考えたい。
目次
ヨーロッパvs.アメリカ
イラクについての誤情報
緊急課題
ゆるしがたい無力
偽善の金字塔
責任者は誰だ?
もう一つのアメリカ
ラガドのアカデミー
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
61
サイードが告発するのは、メディアやそこから広がる無知ゆえの、民主主義に対する裏切りだ。私自身、テレビを見ていて街頭での自爆テロが強く印象に残り、街の外から来るテロリストへの憎しみばかり募らせていた。ところが一方には、パレスチナの村々がユダヤの入植者によって(時には軍も協力して)夜中に襲われたり、イラクへの経済制裁により数十万の幼い命が奪われるといった惨状があったらしく、それらはメディアによって十分伝えられていなかった。一方の残虐行為がこれだけ隠される社会の仕組みに、サイードは人間としての連帯を呼びかける。2015/06/18
ダージリン
2
こうして時間をおくと、やはり当時のアメリカのやり方が異常だったということが改めて良く分かる。今アメリカ人は当時を振り返りどう思っているのだろう。少し冷静になり、是正に踏み出していくのだろうか。日本も報道の偏向性や情報開示の無さという点ではアメリカを非難出来る立場にない。サイードのような硬骨な知識人の存在が求められよう。2012/06/03
mabobo
0
読む時期が遅すぎた。。。2016/03/16
もりしゅん
0
学生時代もちょっとだけ読んだサイード。社会人になってから読むと、また、色々、人間・国家・民族について自分で考えてみる助言をたくさんもらうことができる。2016/01/10
可兒
0
今時ちょっとかじった人なら、この本の内容を偉そうに講釈するぐらい簡単だろう。それほど基礎になっているのだろうけど2010/09/17