関西学院大学研究叢書
最後のゴーガン―“異国”の変貌

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  • サイズ A5判/ページ数 485,/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622070283
  • NDC分類 723.35
  • Cコード C3070

出版社内容情報

「ポール・ゴーガンはつねに〈異国〉を背負っていた。ゴーガンはその時代と生涯をつうじて、いわば〈異なるもの〉との相剋のなかで生きたのである。彼には、この地上のどこにも、彼自身が自足できる固有の領域というものがなかった。自足できないというこのことが、ゴーガンの〈領域〉をつくりだしたのである」。

今年(2003年)は、ポール・ゴーガン没後100年にあたる。本書は、近年のゴーガン研究や新資料を存分に盛りこんで、この複雑きわまりない芸術家の、想像・表現・現実にわたるドラマを描ききった、本邦における第一級の評伝である。

1848年の2月革命直後の動乱期に生まれ、生後わずかでペルーにわたって幼少期をすごしたゴーガンにとって、〈異国〉とは何だったのか。みずからを《わが意に反して野蛮人となったもの》と呼んだこの画家を、パナマからマルティニックへ、そしてタヒチ島、ヒヴァ・オア島へと駆りたてたものは何だったのか。

著者は言う、「ゴーガンという〈存在〉はゴーガンという〈主体〉には還元できない」――激動の時代と、印象主義からポスト印象主義、象徴主義への芸術思潮のなかに、ゴーガンの生きた脈絡を位置づけながら、主要な絵画と、『ノアノア』などの著作や日記を綿密に読みこむ。そこから浮かびあがるゴーガンの雑種的な個性を、〈異なるもの〉との接点と結ばれ、という一貫したモティーフに沿って追求した、伝記評論の決定版。


丹治恆次郎(たんじ・つねじろう)
1935年、京都市生まれ。大阪外国語大学卒業、京都大学大学院文学研究科修士課程修了、博士課程中退(フランス語フランス文学)。関西学院大学教授。専門分野はフランス思想・芸術論、文化記号論などであるが、ポール・ヴァレリーが主な研究テーマ。編著書:『世紀末は動く』(松籟社)、共同執筆:『フランス・ロマン主義と現代』(筑摩書房)、『象徴主義の光と影』(ミネルヴァ書房)、『アヴァンギャルドの世紀』(京都大学出版会)など。翻訳:『ベルリオーズ回想録Ⅰ、Ⅱ』(白水社)、論文:「ヴァレリーと〈極東〉」、「フランスにおけるワグネリスム」、「良寛の詩歌の風景と西田幾多郎の〈場〉の論理」、「《雨月物語》の記号と映像」、「印象主義とアナーキズム」など。

内容説明

ポール・ゴーガン没後100年に贈る、伝記評論の決定版。激動するヨーロッパの時代と芸術を背景に、画家をタヒチへと駆りたてた衝動を、「“異なるもの”との接点と結ばれ」という主題から描ききる。

目次

第1部 “異国”を離れて(「ボクは悪い子なんだ」;船員として;二重生活―株の仲買人 ほか)
第2部 “異国”へ向かって(パナマからマルティニックへ;ゴッホとの出会い―その端緒;南仏のアトリエ ほか)
第3部 “異国”の内で(最後のフランス;タヒチの内側へ;“異国”のなかの政争 ほか)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

7
なかなかの力作。ゴーガンに限らず印象派関連に興味があったら、かなりしっかりと研究されて書いてあるのでなにかしら参考になる。ユイスマンスのゴーガン批評に関して、ゴーガン側からの評価ってものがかなり参考になる。よくここまで資料に当たって、しかも十分に説得力のある結論を導きだしているなって圧倒される。表紙の派手さに似合わず、相当にしっかりと研究されて書かれてある本。2012/12/27

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