イスラエル、イラク、アメリカ―戦争とプロパガンダ〈3〉

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  • サイズ B6判/ページ数 130p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622070252
  • NDC分類 316.4
  • Cコード C1036

出版社内容情報

〈9・11〉から一年が過ぎた。アメリカの単独行動主義はますます明白になり、パレスチナの情況もより過酷になっている。イラクはどうなるのか。病いをおして情況への発言をつづけるサイードの『戦争とプロパガンダ』『戦争とプロパガンダ 2  ――パレスチナは、いま』の続編=第3集。現在を考えるための必読書である。

〈わたしがぞっとするのは、文明の衝突という、いまやこれほど流行りとなった単純化志向の低級な概念が思考と行動を乗っ取ってしまったことだ。わたしたちがいま必要としているのは、それに代わる普遍主義的な枠組であり、その枠組を通じて、サダム・フセインのみならずシャロンも、またミャンマー、シリア、トルコなどたいした抵抗も受けずに略奪行為がまかり通っている一連の国々の統治者たちを理解し、対処することだ。家屋の破壊、拷問、教育権の否認などはどのような場所で起ころうが反対されねばならない。そのような枠組を再建する方法としてわたしが知っている唯一の道は教育である〉



エドワード・E・サイード(Edward W. Said)
1935年11月1日、イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。カイロのヴィクトリア・カレッジ等で教育を受けたあと合衆国に渡り、プリンストン大学、ハーヴァード大学で学位を取得。現在 コロンビア大学英文学・比較文化教授。邦訳されている著書に『オリエンタリズム』(平凡社、1986)『イスラム報道』(みすず書房、1986)『始まりの現象』(法政大学出版局、1992)『知識人とは何か』(平凡社、1995)『世界・テキスト・批評家』(法政大学出版局、1995)『パレスチナとは何か』(岩波書店、1995)『音楽のエラボレーション』(みすず書房、1995)『文化と帝国主義』(全2巻、みすず書房、1998、2001)『遠い場所の記憶 自伝』(みすず書房、2001)『戦争とプロパガンダ 1・2』(みすず書房、2002)などがある。

中野真紀子(なかの・まきこ)訳
翻訳家。訳書にサイード『ペンと剣』(クレイン、1998)『遠い場所の記憶 自伝』(みすず書房、2001)『戦争とプロパガンダ 1・2』(1は共訳、みすず書房、2002)エリオット・レイトン『大量殺人者の誕生』(人文書院、1995)など。


-サイードの本(みすず書房刊)-
・『戦争とプロパガンダ』 \1500
・『戦争とプロパガンダ 2  ――パレスチナは、いま』 \1200
・『イスラム報道』  \2500
・『遠い場所の記憶 自伝』 \4300
・『文化と帝国主義 1』 \4700
・『文化と帝国主義 2』 \4200

内容説明

病いをおして情況への発言を続けるサイードの『戦争とプロパガンダ』第3集。「アメリカのユダヤ人の危機」「細目にわたる懲罰」「無力のどん底」など8篇を収録。

目次

アメリカのユダヤ人の危機
パレスチナの選挙が浮上
一方通行
細目にわたる懲罰
不統一と党派対立
無力のどん底
イスラエル、イラク、合衆国
生まれついてか、選び取ってか

著者等紹介

サイード,エドワード・W.[サイード,エドワードW.][Said,Edward W.]
1935年11月1日、イギリス委任統治下のエルサレムに生まれる。カイロのヴィクトリア・カレッジ等で教育を受けたあと合衆国に渡り、プリンストン大学、ハーヴァード大学で学位を取得。現在コロンビア大学英文学・比較文化教授

中野真紀子[ナカノマキコ]
翻訳家
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

58
一番恐ろしいのは、「パレスチナには誰もいなかった、そこは神がユダヤ教徒に与えた土地だ」と、子供達に教える事だ。多くの人命が奪われた土地に誰もいなかったと語り継いでしまう。そこにはもう憎悪さえない、あるのはただの無…静かで清浄に見える無だけなのだが、その無という平和の奥底に、どれだけの血と怨恨と苦しみが眠っているかと考えるだに恐ろしい。「アイデンティティは自ら選び取るもの」とサイードは訴える。語り継ぎ生き継ぎながら、どう生きるかを自ら選び取っていく…パレスチナ人や日本人という枠を超える考え方に希望を感じた。2015/06/15

oz

4
初読。湾岸戦争以来、メディアはイラクという国のイメージを変質させた。5000年の歴史、アッバース朝以来のアラブ世界の文化の礎石で高水準の教育を保つ国、今や凋落しアメリカへの対抗など到底叶わぬ国。それらは言論から除外され、石油の含有量とサダム・フセインの狂気のみが強調される。カメラはチャドルの女性と自爆テロの惨状にのみクローズ・アップし、抽象概念のカーテンがイラクを包む。ベンヤミンが予言し、ヴィリリオが実証したメディアと戦争の癒着の例がここにある。2009/12/16

林克也

0
正しい。2003/03/11

ダージリン

0
この手の問題はアメリカに限らないのではないだろうか。原発の問題一つ見ても、明らかな不正義が長年放置されてきたことが分かる。サイードの著作に思うのは、主流マスコミが報道しないことに斬り込み、メスを入れていく必要性だ。日本にもこうした気概ある知識人が求められる。2012/06/05

yooou

0
☆☆☆☆★2009/06/05

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