みすずライブラリー<br> サバルタンは語ることができるか

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サバルタンは語ることができるか

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  • サイズ B6判/ページ数 145p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784622050315
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C1310

出版社内容情報

従属的位置にある女性について、知識人は語ることができるのか。ポストコロニアル批評の傑作。

内容説明

フェミニズムとポストコロニアルの問題圏の交差点に定位しつつ、サバルタンの女性と知識人のあり方をめぐって展開される目眩く筆致。従属的地位にあるサバルタンの女性について、知識人は語ることができるのか、フーコーやドゥルーズを批判しながら、一方でインドの寡婦殉死の慣習を詳細に検討した、現代思想の到達地平。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

97
1998年刊 インド系女性哲学者 前半、久々に読みにくかった。一昔前の思想書翻訳物ってこんな感じだったな。 後半は寡婦殉死の慣習をインドの立場から2025/11/27

ケイ

67
難しいね。一例を示すことでサバルタンたちの問題に焦点を当てようとするのだということだろうが、重箱の隅をつつきすぎではと思う点もあった。しかし、このような意見をできるのは、私が女性であるからこそかもしれない。結局、日々受難の憂き目を見ている女性たちとしてのサバルタンをもう少し一般的に考えてみたい。グラムシを読んでみるべきなのかな。2025/11/26

ころこ

31
サバルタンとは非従属社会集団のことです。最後に「サバルタンは語ることができない」と書いてあります。当事者しか言えない、政治性を含意した言葉でないと言えないといったことはいっけん正しいですが、かえって社会の語りづらさの遠因だと指摘することは必要です。前半は何が書いてあるのか、文の継起的繋がりからは分からないテクストです。マルクス主義的な世界システム批判だとしても、現在の世界やそれを表象する言葉を手掛かりに「語ること」しかないはずで、「語ることができない」と語ることで何かを信じていることは言明されています。2019/03/12

松本直哉

28
夫の死後遺体を焼く薪に身を投げる寡婦殉死の慣習をめぐって、「悪習を根絶して女性を救った」と自慢する旧宗主国の英国も、「彼女等は自らの意思で殉死した」と貞節を称えるインドの男性も、ともに自らを正当化するだけで彼女らの声には耳を傾けようとしない。何世紀も沈黙させられてきた女性たちはいまさら語ることはできない。できるとすればそれは彼女らに「語りかける」こと、あるいは語りかけそこなうこと。語りかけるためには彼女らの目を見なければならない。いままで男性たちは一度でも彼女らの目を見たことがあっただろうか。2020/08/19

またの名

20
もちろん語ることは簡単でないと言いたい本なので、恵まれたヨーロッパ世界にも白人にも知識人階級にも富裕層にも男性支配層にも属してないサバルタンの声は、書かれない。白人エリート男性のドゥルーズやフーコーが左翼嫌悪を示して開かれた解放の言説を語るのを欺瞞と告発するも彼らから多くを学びとる同じ手つきで、男性主義・帝国主義的でありながら「ヒステリー患者に声を与えたい」と願ったフロイトの仕事に著者が見つけたのが、センテンスの技法。患者たちが提供した多くの似た話から一つの文を構築する両義的な手段だが、それもまた不完全。2017/04/24

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