出版社内容情報
先頃、NHKラジオで児玉清さんが絶賛。
しばらく品切れになっていたのですが、注文が殺到、重版し、出来上がりました。2001.11/27記
いまや、ロングセラーです。
内容説明
ゲーテ、ナポレオン、ドストエフスキー、スコットなどの天才が輝きを放った、十二の世界史の運命的な瞬間を凝縮して描いた、ツヴァイク晩年の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまご
33
面白かった! 主に欧米12人の,著名人だったりあまり知られていない人だったりが歴史に影響を与えた一瞬の,きらめいた時間が書かれています.それは,正しいこととか間違ってるとか,そんな判断は無意味な,「星の時間」. あの一瞬がこうだったら,と歴史のifを考えたくもなりますね. とっつきにくいように見えて,いえいえ読みやすい. この文体が癖になりそう!2019/02/22
harass
31
歴史が動く、人たちの一瞬の煌めきを、星の光に例えた題名。12編の歴史の良くも悪くも重要なシーンを描く短編集。 バルザック伝記の時も感じたがこの語りが癖になる。大時代がかった言い回しや畳み掛けが面白い。極太の筆で描かれた絵巻のような勇壮さや偉大さがある。歴史物特化の文体といえる。一癖あるエピソードばかり。トルストイの家出と死、コンスタンティノープルの陥落、ラ・マルセイエーズの作曲者のその後、ワーテルローの戦いの鍵だった凡将、落ちめ作曲家ヘンデルのオラトリオ『メサイア』創作、南極探検二番目に到着した男など。2014/09/20
あきあかね
29
「グルシーは一瞬間だけ考えた。そしてこの一瞬間が彼自身の運命と、ナポレオンの運命とそして世界の運命とに形をとらせることになった。ヴァルハイムの農家の中のこの一秒間が十九世紀全部について決定した。」 滔々と流れる時という大河の中で、世界の歴史を変えた劇的な一瞬。それをツヴァイクは、「人類の星の時間」と呼ぶ。 彼が取り上げるのは、栄光を得た者よりも、敗れ去った者が多い。冒頭のナポレオンの最後の戦いをはじめ、人々を狂わすゴールド·ラッシュにより全てを失った地主ズーター、オスマン帝国に滅ぼされたビザンチンの都の⇒2019/08/17
苺畑序音
26
面白い。序文もいい。星の時間 という言い表し方も素敵です。2016/11/16
みつ
24
歴史の中でも稀な、崇高な忘れがたい瞬間、避雷針の尖端に大気全体の電気が集中するように、多くの事象の測り知れない充満が一切を決定する一瞬間の中に凝縮する。筆者はそれを「人類の星の時間」と呼ぶ(序文まとめ。かつてのNHK番組『その時歴史が動いた』よりずっと象徴的で美しい。)。コンスタンチノープルの陥落、最初の南極点到着にわずかに遅れたスコット隊、ワーテルローの戦いなど敗者の視点で描かれたものが多く、勝者のその後歩んだ道も印象深い。格調高くしかも高揚感に溢れた名文にして名訳が、この本の価値を一層高めている。2021/06/12
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- 和書
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