出版社内容情報
うつ状態、アルコール依存症など現代症の根底にある強迫神経症を詳細に分析し、治療法を探る。
内容説明
現代は強迫パーソナリティの時代である。そのパーソナリティ構造の極端なものが精神科医を訪れる患者の大部分を占めている。すべての強迫パーソナリティが社会的に不適応を起こしているわけではなく、逆に社会の中にあって、ときには高い社会機能を果たしている人も少なくない。本書のユニークな点は第一部として強迫パーソナリティ(あるいは強迫的な生き方)の記述、第二部にはその破綻としてのいくつかの病態(うつ状態、恐怖神経症、強迫神経症、嗜癖状態、ギャンブル、盗癖、自慰など)を簡単にスケッチし、最後に第三部として(個々の病態ではなくて)強迫パーソナリティの精神分析療法をおいていることであろう。重心はあくまでも強迫パーソナリティにある。
目次
第1部 強迫パーソナリティの諸特徴(強迫的行動についての諸理論;強迫的スタイル;社会参加、性生活、結婚生活;強迫スペクトル)
第2部 強迫状態と他の症候群(抑うつ;恐怖症;強迫的防衛の破綻;嗜癖状態)
第3部 治療(強迫パーソナリティの治療;臨床的考察)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Michael S.
1
人生のある時期にお世話になった本。自分を理解するときにこの本が助けになる人は一定この世にいると思う。 その方面の人にはオススメ。
要
1
一般、普通の方にも見られる「強迫」という自己防衛システムについての詳細な研究です。古い本ですが、この書物を読むと昨今の強迫関係の書物は何も語っていない、というレベルに思えます。たいへんな良書。翻訳とあとがき解説に笠原嘉が関わっています。2014/01/12
ルヴナン
0
原書の出版は1968年、邦訳の85年時点でも古かったのではないか。フロイト学説への拘泥、訳者後記でも指摘される境界例や自己愛からの未分化は気にはなる。それを差し引いても、多くの点で示唆に富んでいる。2016/04/05
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