出版社内容情報
アメリカ亡命から死までの五年間を記す。経済的困窮や病気の中で営まれた、作曲家の創作過程。
内容説明
ナチ占領下の祖国に止まることを拒否して、ベラ・バルトークは祖国ハンガリーを去り、1940年アメリカに亡命した。著者がブダペストの音楽アカデミーの学生であった頃、バルトーク教授はそこですでに伝説的な偶像であった。著者は20年代の末からニューヨークに住み、ここで亡命したバルトーク夫妻を歓迎し保護し助力することとなる。バルトークは異郷アメリカで5年後に歿するが、本書はこの期間の天才をえがくヴィヴィドで感動的な物語である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1959のコールマン
21
☆4.5。晩年のバルトークの伝記、というより小説に近い。ゆえに伊東信宏氏が言うように「厳密な意味での史料として扱えるものではない」。加えて文体はかなり古くさいし硬い(固陋なんて言葉初めて知った)。50年前の文だから仕方ないだろう。が、その欠点を上回る内容の面白さ。時々出てくるバルトーク流ユーモア。名言。それらが晩年のバルトークをうまく表している。「生命は途につくと同時に踏み潰されることの方が多いのだ。自然は豊かな生命を与えるとともに、同じだけの生命を奪うものなのだから」p5。2019/06/23
やいっち
5
素晴らしい本でした。バルトークファンならずとも音楽ファンにはお薦め。戦時下ハンガリーからアメリカに脱出し活路を見出ださんとした夫妻のドラマとしても読み応えある。音楽にも疎い我輩には深すぎる内容の本。バルトークの自然を感じる特異な感性に(動物たちへの共感にも)驚嘆。我輩には感想は書けません。2024/09/13
くらぴい
1
バルトークはピアノの教え子の女性と結婚し、戦争でアメリカに亡命し、夫婦で苦しい生活をしてました。演奏会に出続けながら、故国の田舎での民謡採譜活動に思いをいたし、発病後入院し亡くなる直前も未来に希望を抱いてました。2018/06/30
nobi
1
読み終えてから、久しぶりに聴いた「管弦楽のための協奏曲」が、胸に迫る。東欧的な懐かしさと素朴さを持つ旋律とアメリカ的に派手な金管の使用が交錯し、時に、おどけた余裕の表情さえ見せる。特にフィナーレの、疾走感、力動感あふれるこの作品が、祖国ハンガリーからアメリカに亡命して3年間、全く作曲できなかった人の作品とは到底思えない。残念なのは、堅苦しい翻訳。(続きはfacebookで) 2015/01/03
リリス
0
他人の人生に巻き込まれた人が、他人のことをこうも尊敬して観察して描写できるということに何度でも驚く。 バルトークは芸術家だからって、めんどくさすぎだよ。反対に、同じく音楽家のアガタ・ファセットさんは人間が出来すぎてる!2014/07/22
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