出版社内容情報
対照的な個性の相違を持つ二人の思想家が目指したものは何か。テキストに基づき思考過程を辿る。
在庫僅少-2003.5
内容説明
ローマ帝国没落のさなか、キリスト教思想形成期に生きたアウグスティヌスと、中世キリスト教界の円熟期に生きたトマス・アクィナス―対照的な個性の相違をもってヨーロッパ精神史に聳えるこの二人の思想家が目ざしたものは何であったのか。中世哲学史の碩学による本書は、テキストに即して両者の思考過程をたどりつつ、現代におけるその意義を描き出す。
目次
第1部 アウグスティヌス―西洋の教師(アウグスティヌスの哲学的解放;神の探求へ;宇宙;道徳的および社会的秩序)
第2部 トマス・アクィナス―公同の博士
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kentaro mori
3
⚫︎(1)「まず第一に、アウグスティヌスに非物体的、不可視的、そして純粋に霊的な光という観念がもたらされた。」 (2)「第二に、アウグスティヌスは、存在という名称に真に値するところの、したがって神であるところの存在と、何よりもさきに存在を分有しているところの存在との根本的な区別をおこなう教説をプラトン主義に負うている。」 (3)「存在するものはすべて善であるという洞察をアウグスティヌスはプラトン主義者に負うている。」 (4)「このことから、悪とはある善を損なうことにすぎないのであり、それは存在をもたないと2024/12/05
amanon
0
訳は今一つだが、内容は良い。ただ、解説にあるように本書は原著の一部分だけというのが惜しい。できれば何年かかっても良いから原著全体を訳出して欲しいというのは無い物ねだりか?それはともかくとして、アウグスティヌスとトマスという中世を代表する二大哲学者の思想を概観することで、同じ中世に属すると言われながら、その指向性や時代背景などに大きな隔たりがあることを改めて痛感。また、二人の思想をちゃんと理解するためには、地に足のついた哲学的素養が必要だということを思い知らされた。またいずれじっくり読み返したい。2015/09/30