出版社内容情報
ラテン中世に花開く古典復興。哲学・科学から歴史記述、遊歴書生の世界まで。創造的瞬間を描く。
内容説明
都市が勃興し、最初の官僚国家が形成されつつあった12世紀のラテン的ヨーロッパは、古典古代を再発見した。若々しく、活力にみちた時代精神に、古代の知的遺産が新しい意味、新しい響きをもった。“12世紀は他に例を見ないほど創造的な、造形的な時代”(ホイジンガ)であった。中世史家ハスキンズは、綿密な写本研究と文献学の成果にもとづいて、修道院から大学まで、この中世のルネサンスに営まれた精神生活の諸相を描く。
目次
歴史的背景
知的中心地
書物と書庫
ラテン語古典の復活
ラテン語
ラテン語の詩
法学の復活
歴史の著述
ギリシア語・アラビア語からの翻訳
科学の復興
哲学の復興
大学の起源
感想・レビュー
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サアベドラ
12
中世盛期に現出した芸術、文化、科学などの各分野の進展を「12世紀ルネサンス」という術語で総称し、学界に定着せしめた中世文化史の古典。著者ハスキンズはアメリカの科学・思想史家。原著は1927年の発行。記述の中心は修道院におけるラテン語古典の復活と、南欧でのギリシア古典の翻訳による科学や哲学の発展であり、原著が出た当時すでによく知られていたキリスト教芸術や俗語文学などについては大胆にカットされている。とまれ現在でも中世文化史の参照文献として第一にリストアップされる本であり、その重要性は変わっていない。2015/01/22