出版社内容情報
オルレアンで発生した <女性誘拐> のうわさをテーマに、全てが神話化される時代の性格を考察。
内容説明
1969年5月の初め、ひとつのうわさがオルレアンで広まった。幾人かの女性が行方不明になっているという。ユダヤ人の商人たちが、ブティックの試着室のなかで薬物をかがせるか注射するかして、地下の通路を経て、外国の売春街へ攫っていったというのだ。この月の末に至る間にうわさは尾ひれをつけられ、この「犯人」たちを威嚇するような性格をもつ。ユダヤ商人の多くは、ある狂気が彼らを包囲するのを知る。じっさいには、何ごとも生じていなかった。だれ一人として、オルレアンで行方不明の女性などいなかった。すべては口から耳へと伝えられ生じたのである。モランとその調査グループは、この事件の解明を試みる。なぜオルレアンで?なぜユダヤ人が名ざしで?いかにうわさは増殖し、神話化したか。
目次
総合レポート
調査日記
記録
アミアンのうわさ
現在あるものの社会学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
12
フランスの都市伝説を社会学的見地から調査した本。フランス人のユダヤ人差別が透けて見えるのを詳らかにしたのが印象的。2022/09/24
いとう・しんご singoito2
9
読友さんのレヴュ切っ掛け。市場調査に頽落した社会学にも、システムや構造の概念を玩弄する社会学にも批判的なモランは「現象学的な刺激から始めて、互いに他を衰弱させあい、発展を妨げあい、窒息しかかっている理論と具体的なものの探究とを、生気づけることが問題となる」P366と指摘した上で、「私たちはいまだ出来ごとの社会学の端緒についたのにすぎないのである。」p369と述べている。端緒についた段階ゆえか、全体の印象はモヤモヤっとしていて、結局、バックデータ的な70頁ほどをパスして読了。2022/10/21
samandabadra
3
昔、漫画(シティーハンターだったかな)で女性が試着室に入るとそこが抜けて誘拐され、危機一髪というのがあったけど、そのようなうわさがユダヤ人と結び付けられどう広まりどう収束していったかを調査した研究。うわさは尾ひれ、背びれ、ふかひれつきますが、それにどう社会や心のかたちがかかわるのか、結論から言えばあまり迫れていなかったようにも思えます。2010/10/05
takao
2
ふむ2022/10/25
海星梨
2
統計や思弁のみでなく、五感総動員で当たらなければならないと姿勢を表明しつつ、調査日誌に鮮度がなくなった的なことが書いてあって、「あっれ!?私がここまで読んだものはなんだったのかな!?」と。造語は……一次情報としては伝わるかもしれないんですけど、国と時代と翻訳を経たら、情報量と意味と意図が変質する気がします。これ本質は「産業化という社会の大規模な変革のなか、余所者が合法だけども集団の規範とは違う方法で金稼いだことへの伝統の中の大多数の不安不満」ってことでいいのかな?2018/12/14
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- 洋書
- Aspiração…