ファイル―秘密警察(シュタージ)とぼくの同時代史

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048633
  • NDC分類 317.934
  • Cコード C1098

出版社内容情報

1978年のある日、「ぼく」はベルリンに向けて愛車アルファ・ロメオを走らせた。ぼくはオクスフォードを出たばかりの歴史家の卵。ナチス時代の抵抗が研究のテーマ だった。ぼくの生活は「壁」の両側にわたっていた。資料の山に埋もれ、証言を聴きに人を訪ね、東欧を旅し、恋をした時期……ところが、その行動を秘密警察(シュタージ)が 観察し、記録に残していたのだ。

暗号名はロミオ。ドイツ統一後に公開されたファイルの中で、ぼくはもうひとりの自 分と対面することになる。彼らはなぜぼくを見張っていたのか? だれがなんのために? 歴史の重い扉をぼくは、ぎいと開ける。

書評情報:
津野海太郎さん/朝日新聞 2002.6.23
池田浩士さん/日本経済新聞 2002.6.23
郷原 宏さん/東京新聞・中日新聞 2002.6.9
小玉節郎さん/「ミステリマガジン」2002.9月号

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Timothy Garton Ash(T・G・アッシュ)
1955年英国生まれ。オクスフォード大学で近現代史、特にヒットラー政権に対するレジスタンスについて学ぶ。冷戦下の両ドイツに滞在し、ベルリン自由大学、フンボルト大学で研究。1990年よりオクスフォード大学セント・アントニー・カレッジで教鞭をとるほか、現在はスタンフォード大学フーバー研究所上級研究員も務める。著書 The Polish Revolution(1983), The Uses of Adversity(1989)、 We the People(1990),In Europe's Name(1993、 みすず書房より邦訳刊行予定), History of the Present(1999)。 中欧・東欧情勢などに関してしばしば新聞・雑誌に執筆。

今枝麻子(いまえだ・あさこ)
1966年兵庫県生まれ。東京大学文学部英語英米文学科卒業。

内容説明

一九七八年のある日、「ぼく」はベルリンに向かって愛車アルファ・ロメオを走らせた。ぼくはオクスフォードを出た歴史家の卵。ナチス政権への抵抗が研究テーマだった。ぼくの研究生活は壁の東西にまたがっていた。資料に埋もれ、人に会い、東欧を旅し、恋をした時代―その日々を、秘密警察がつぶさに記録していたのだった。暗号名は「ロミオ」。もうひとりの自分と対面させられたぼくは、ファイルを手がかりにドイツの過去と向き合う。感動のパーソナル・ヒストリー。

著者等紹介

アッシュ,T.ガートン[アッシュ,T.ガートン][Ash,Timothy Garton]
1955年英国生まれ。オクスフォード大学で近現代史、特にヒットラー政権に対するレジスタンスについて学ぶ。冷戦下の両ドイツに滞在し、ベルリン自由大学、フンボルト大学で研究。1990年よりオクスフォード大学セント・アントニー・カレッジで教鞭をとるほか、現在はスタンフォード大学フーバー研究所上級研究員も務める。中欧・東欧情勢などに関してしばしば新聞・雑誌に執筆

今枝麻子[イマエダアサコ]
1966年兵庫県生まれ。東京大学文学部英語英米文学科卒業
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

BLACK無糖好き

16
著者は英国人の歴史学者で主に1980年代に東西ドイツで研究活動をしていた。ドイツ統一後、東ドイツのシュタージ(秘密警察)のファイルが公開されて、監視対象者であった著者が自身に関するファイルを元に、当時の情報提供者や担当管を突き止めて話を聞く試み。結果として著者が会った関係者には邪悪な人間は全くいなく、人間の弱さが見えただけだった。個々人の行為は周囲の状況に影響される。◆独裁政権下における「組織」「社会」「私」の関係を文学や芸術のテイストも散りばめながら、深く掘り下げている点が印象深かった。2018/12/24

Nobuko Hashimoto

14
再読。イギリスの歴史学者でジャーナリストでもある著者が、旧東独秘密警察が作成した自分に関する資料を読み、情報提供者たちに話を聞く。自分の過去をたどりながら歴史、国家について思考するスタイルで書かれていて、歴史もの、スパイものの読み物のように読める。この夏、ベルリンの秘密警察博物館と、文書保管庫を見学してきた。現地に行ったことで臨場感が増した。2016/08/14

犬養三千代

7
イギリス人の歴史家が書いた「自分のファイル」旧東ドイツなどでの記録。その観察者密告者を黒革の手帖よろしく尋ねるようすを描いている。かつて友人、恋人だと思っていた人たち。スリリングな展開だ。共産党というものの本質なのかなぁ。情報公開したドイツの凄さ?も感じる。2020/01/14

nori1104

4
 もし自分がIMだったら、という事を思わずにはいられなかった。自分が東ドイツの人間で、ある日突然秘密警察に呼び出されて、ある人物の監視協力を要請されたら?統一後にその監視対象が訪ねてきて、なんでこんなことしたんですかと訊かれたら?作中の対面記録や70~80年代の回想を面白く読む間に頭の片隅でぐるぐる考えていた。あと旧東独保安省の記録を管理する「ガウク機関」の徹底した情報管理に対する姿勢(シュレッダーされた書類を繋ぎ合わせる試みもなされているとか)には(昨今の本邦におけるあれこれを思い出しながら)脱帽した。2020/12/08

Masako3

2
★★☆ 英国出身の歴史学者、ジャーナリストでもある。20代の頃、調査のため旧東ドイツを何度も訪問した際、”シュタージ”の監視対象であった。冷戦終了後、申請すれば自分の”ファイル”を閲覧できるようになり、過去の日記から当時の自分の密告者に当たりをつけ、何人かとは面会に成功する。彼らは間違ったかもしれないが、普通の人たちであった。こうした監視は、英国においてもあり、決して公開されることはない、とも指摘する。2019/01/28

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