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大人の本棚
父の果/未知の月日

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  • サイズ B6判/ページ数 291p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048367
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C1393

出版社内容情報

吉屋信子といえば、おおかたの人は、『夫の貞操』や『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』あるいは少女小説『花物語』などの作品を思い起こすだろう。たしかに彼女はこうした長篇小説によって、広範な読者層を獲得した人気作家であった。とりわけ女性のファンが多かった。

しかし彼女は昭和20年代から30年代にかけて、多くのすぐれた中・短篇小説を書いている。なかでも第4回女流文学者会賞を受賞した「鬼火」は戦後の荒廃した風景を典型的に描いた傑作と言えよう。ほかにも、「後家サロン」や「蕃社の落日」「マカオの落日」など、記憶すべき佳作を残している。

本書は、そうした戦後の時代・世相を描いた短篇とエッセー21篇を収めたアンソロジーである。夢に見れば死もなつかしや冬木風――極貧のうちに27歳の生涯を閉じた俳人・富田木歩の伝記、さらに徳田秋声や樋口一葉など、印象的なポルトレを味読されたい。

シリーズ〈大人の本棚〉


吉屋信子(よしや・のぶこ)
1896年、新潟市生まれ。1912年、栃木高等女学校卒。1919年、玉成保母養成所卒。1916年、雑誌「青鞜」に詩や小品を寄稿。同年7月から8年間、「少女画報」に「花物語」52篇を連載。1920年、『地の果まで』を「大阪朝日新聞」に連載、少女小説『屋根裏の二処女』も出版され、多彩な才能を開花させた。1928年渡欧、一年近くパリ滞在。1935年、『女の友情』。1937年、『良人の貞操』。1952年、『安宅家の人々』。1957年、「鬼火」によって第4回女流文学者会賞受賞。1962年、『香取夫人の生涯』。1965年、『ときの声』。1966年、『徳川の夫人たち』。1967年、菊池寛賞受賞。1968年、『続徳川の夫人たち』。1970年、紫綬褒章受賞。1971年、『女人平家」。大腸癌のため没、享年77歳。


吉川豊子(よしかわ・とよこ)編
1949年、東京生まれ。1976年、東京大学大学院文学研究科修士課程修了。山梨県立女子短期大学教授。日本近代文学専攻。「『青鞜』から『大衆小説』作家への道/吉屋信子『屋根裏の二処女』」(1995年)、「『海の極みまで』『真珠夫人」『或る女』/吉屋信子初期三部作の時代と“戦略”」(1997年)、「吉屋信子『花物語』作品鑑賞」(2002年)、「『月から来た男』解説」(2002年)などの吉屋信子研究のほか、「漱石の風呂」(1993年)、「ヒロインとしての『新しい女』/『三四郎』『煤煙』と平塚らいてう」(1999年)など、夏目漱石とその周辺研究、「近代日本の『レズビアニズム』/1910年代の小説に描かれたレズビアン」(1998年)、「『恋愛と結婚』(エレン・ケイ)とセクソロジー」(1999年)など、セクシュアリティやジェンダーに関する研究がある。

内容説明

吉屋信子と言えば、『良人の貞操』『安宅家の人々』『徳川の夫人たち』、あるいは一連の少女小説を思い浮かべる人が多いだろう。しかし彼女は昭和20‐30年代にかけて、多くの卓れた中・短篇を発表している。第四回女流文学者会賞を受けた「鬼火」をはじめ、「みおつくし」「マカオの露台」など、戦中と戦後の時代相をみごとに切り取っている。本書はこの時代の作品を精選・収録すると共に、一つの文学的年代記とも言える随筆をも加えた、特異な吉屋信子アンソロジーである。

著者等紹介

吉屋信子[ヨシヤノブコ]
1896年、新潟県、新潟市生まれ。1912年、栃木高等女学校卒。1919年、玉成保母養成所卒。1916年、雑誌「青鞜」に詩や小品を寄稿。同年7月から八年間、「少女画報」に『花物語』五十二篇を連載。1920年、『地の果まで』を「大阪朝日新聞」に連載。『屋根裏の二処女』も出版され、多彩な才能を開花させた。1928年渡欧、一年近くパリ滞在。1957年、「鬼火」によって第四回女流文学者会賞受賞。1967年、菊池寛賞受賞。1968年、『続徳川の夫人たち』。1970年、紫綬褒章受賞。1971年、『女人平家』。大腸癌のため没、享年77歳

吉川豊子[ヨシカワトヨコ]
1949年、東京生まれ。1976年、東京大学大学院文学研究科修士課程修了。山梨県立女子短期大学教授。日本近代文学専攻
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かもめ通信

16
少女小説とはひと味もふた味も違う、戦後に発表された中・短編小説とエッセイが収録されているまさに大人の本棚に似合いそうな1冊だった。2021/12/11

きりぱい

9
ちょ、吉屋信子何言いだすの!と、一瞬語り手と著者を混同してしまって惹きこまれる「みおつくし」。うまいな。続く「立志伝」「父の果」「凍蝶」「マカオの露台」もいい。富田木歩を知らなかったので、「墨堤に消ゆ」もよかった。後半は随筆。2017/04/30

つつま

2
『マカオの露台』こういう短編との出会いがあるから読書はやめられないんだよね。本当素晴らしかった。2015/11/19

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