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ベンドシニスター

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  • サイズ B6判/ページ数 291p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048039
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

ナボコフが、アメリカで書いた初めての小説。独裁政治がはじまって運命を弄ばれる大学教師と幼い息子をめぐる、愛についての美しい“ファンタジー”。ナボコフにしては珍しく自身の亡命の悲しみが染み込んだ作品で、最もリクエストの多かった作品である。

内容説明

本書には、白痴的で卑劣な体制に直接起因するある反映が認められる。独裁政治や拷問の世界、ファシストやボルシェヴィキ、俗物思想家やブーツを覆いた乱暴者たちの世界の反映が。…主要なテーマは、愛に満ちたクルークの心の鼓動、深いやさしさが蒙りやすい苦悩である。

著者等紹介

ナボコフ,ウラジーミル[Nabokov,Vladimir Vladimirovich]
サンクト・ペテルブルグに生まれる。裕福な家庭環境で育ったが、ロシア革命時に一家でロシアを脱出。ケンブリッジ大学を卒業後、ベルリン次いでパリにおいて亡命生活を送る。その間に『キング、クィーン、ジャック』(1928年)、『暗箱』(1932年)、『絶望』(1936年)等によってロシア語作家としての地位を築く。1940年、ナチス・ドイツの侵攻直前にパリを脱出、アメリカに移る。英語作家に転身、大学で教えながら『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』(1941年)、『賜物』(ロシア語版1952年、英語版1963年)等を発表。代表作『ロリータ』(1955年)によって世界的な名声を得て後は、スイスに移って著作に専念。『青白い炎』(1962年)、『アーダ』(1969年)等を発表。鱗翅目研究者としても知られる

加藤光也[カトウミツヤ]
1948年、秋田県に生まれる。1971年、一橋大学法学部卒業。1975年、東京都立大学大学院人文科学研究科英文学専攻博士課程中退。現在東京都立大学人文学部教授。編著に『今日の世界文学』(放送大学教育振興会、1994年)、訳書にジュリアン・バーンズ『太陽をみつめて』(白水社、1992年)、アンジェラ・カーター『夜ごとのサーカス』(図書刊行会、2000年)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

harass

82
難解と知っていたが試しに借りる。全体主義の架空の国での、世界的な哲学者の主人公のお話(1947)。第一章に感心し、注文したが、その後は突き放したポスモダ的難解さがあり残念。それでも独特のリリックな描写は別格。作品の意図などを著者が解説する長い序文を収録。この作品の反省を踏まえた次作が『ロリータ』(1955)。この作品の妻や子への抑制した強い愛情表現はさすが。ファンであれば。2018/06/27

踊る猫

45
さて困った。『ロリータ』が一見すると幼児性愛の話であるようでそんな「低俗」「通俗」を期待するこちらをあっさり裏切る怪作であったように、この『ベンドシニスター』もオーウェル的な全体主義批判を期待して読めばまさに狐につままれたような読後感しか残るまい。散見される言葉遊びや登場するさまざまな人々のどこかとぼけた人物造形、どこを斬ってもまさにナボコフ印のこの作品はそれ自体が迷宮のようでなかなか見通しが悪く、読みながらいったい自分がどこにいるのかわからない無限回廊をさまようこととなる。後味は悪いがあなどれない作品だ2024/08/04

Tonex

44
独裁国家における知識人の姿を描くディストピア小説。もともと「サンリオSF文庫」の一冊として刊行されたことからわかるように、日本では当初SF小説という扱いだった。しかし、当時これをSFだと思って買った人はがっかりしたのではなかろうか。読みにくいし、面白くない。かなり高度な文学的技巧に満ちた難解な文学作品。▼サンリオSF文庫の誤訳を修正した改訳版とのことだが、文章がわかりにくい。原文が難解なのはわかるが、翻訳が下手。翻訳者にも意味がわからないのでとりあえず直訳でごまかしたと思われる部分が多々ある。2016/06/02

Tonex

40
再読。初読時に比べればよく理解できるし、部分的に面白いと思える部分もあった。しかし、これはナボコフ作品でなければ翻訳されることもなかっただろう。完成度の低いポストモダン文学。▼ナボコフがアメリカ移住後に初めて書いた長篇小説。英語の長篇としてはパリで書いた『セバスチャン・ナイトの真実の生涯』に続き2作目(それまではロシア語作家だった)。どちらも全然売れなかったので、一念発起して話題性抜群な題材を使って書いたのが次の『ロリータ』。これがバカ売れしたおかげでナボコフは仕事をやめて専業作家になることができた。2016/06/04

chanvesa

32
高熱時に見る怖い夢から醒めた後のような読後感。俺は不死身だとか言ってたクルークの自信の根拠は何だろう?妻オリガの死を乗り越える、あるいは息子ダヴィッドを守るエネルギーではなく、わたしは全く理解できない「ハムレット遊び」の様な知的引きこもりが背景か。その箇所(138頁)で、「翻訳者の霊感や言語が原作者の霊感や言語とは違うように…さまざまな部品や照明効果、そよ風を発生させるエンジンといったものの精妙な組み合わせによって」本来違うものが同じ影になるという。蟇蛙との格闘のラスト、ドラえもんのストーリーのような…2014/07/05

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