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この道を行く人なしに

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  • サイズ B6判/ページ数 403p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622048022
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

出版社内容情報

アパルトヘイトの抑圧の下で書かれた主著『バーガーの娘』と、悪法撤廃後の、全く趣のちがう『この道を行く人なしに』。一枚の写真を手がかりに物語が始まる本書は、前作の緊張した文体に比し、伸びやかとも思える、語りの声が聞こえてくるような長編。南アの現代史を生き抜いてきた一人の女性の奇跡がくっきりと見える作品。

書評情報:
稲葉真弓さん/山形新聞 2001.4.1

内容説明

1990年の南アフリカ。悪名高いアパルトヘイトは崩壊したが、来るべき秩序はまだ不透明。不安、希望、混乱の渦。そんな状況下では「私と娘」の関係も「私と彼」の関係も、曖昧さをはぎ取られる。さらなる自由と、真の人生の同志を求め、傷つきながら、新しい出会いに心を震わせて生きる女性、ヴェラの物語。南アのノーベル賞作家が、主著といわれる『バーガーの娘』を凌駕する感動的な作品を書いた。題は芭蕉の句から。

著者等紹介

ゴーディマ,ナディン[Gordimer,Nadine]
1923年、南アフリカのジョハネスバーグ近郊、スプリングスに生まれる。20歳のとき、ジョハネスバーグのヴィットヴァテルスラント大学に1年間、聴講生として通う。25歳で、短編集『顔と顔を合わせて』(1949年)で本格的なデビュー。最初の長編小説は『いつわりの日々』(1953年)。その後、10作の長編小説、200以上の短篇作品を発表。『保護管理人』でブッカー賞受賞。1991年、ノーベル文学賞受賞。邦訳『ブルジョワ世界の終わりに』(スリーエーネットワーク、以下スリーエー)、『ゴーディマ短編小説集Jump』『現代アフリカの文学』『ナディン・ゴーディマは語る アフリカは誰のものか』(岩波書店)、『バーガーの娘』(みすず書房)、『マイ・サンズ・ストーリー』(スリーエー)

福島富士男[フクシマフジオ]
1951年宮崎市に生まれる。一橋大学卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。専攻アフリカ文学。現在東京都立大学教授。著書に『アフリカ文学読みはじめ』(スリーエー)。共著書に『今日の世界文学』(放送教育振興会)、『激動の文学』(信濃毎日新聞社)。訳書ホーヴェ『骨たち』(講談社)、同『影たち』(スリーエー)、ゴーディマ『ブルジョワ世界の終わりに』(スリーエー)、同『バーガーの娘』(みすず書房)、サロ=ウィワ『ナイジェリアの獄中から』(スリーエー)ほか
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

秋 眉雄

20
『いましかないの』バレバレではあったとしても、今までつくことの出来ていた嘘さえどんどんつけなくなってしまう。それが歳をとるということを自覚する一瞬であるのかもしれない。自分に正直になればなるほど、身近な人間を傷つけてしまうことになる。それは個人はもちろん、国そのものとしてもそうなのだと思う。白人同士と黒人同士、二組の家族のパーソナルな事柄と時代が動くダイナミックな事柄が折り合い、反発しあう物語。主人公ヴェラ・スタークはキスしたら鉄の味がしそうな女性でした。2020/06/25

無識者

11
バーガーの娘(1巻しか読んでない)と比べると社会性が減りそのぶんエンタメ性があってよみやすい。訳者によるとこちらの方がゴーディマらしい作品らしい。(…なにを書こうか)夫が戦地に赴いているときに、不倫相手の顔にマルで囲った写真を夫に送り付けるが、その真意が夫に伝わらずに…それを様々な時点、視点から描いていく…とか書けば作品の雰囲気が伝わるだろうか。2016/12/26

メルコ

1
実に巧みな語り。奇を衒っているわけではなく、本質を見つめる視点が、玉ねぎの皮を剥いていくような不思議な心地を感じさせる。抽象的な言葉でなく、ひたすらリアリティーのある言葉で綴られていく。登場人物は、家庭での面、社会的な面、また過去のある時点での面など、時制や立ち位置を変えて語られる。話は繰り返して語られているようでいて、一つの物事を多層的に捉え、様々なベールを通して見ているかのよう。2012/01/27

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