出版社内容情報
アパルトヘイトの抑圧の下で書かれた主著『バーガーの娘』と、悪法撤廃後の、全く趣のちがう『この道を行く人なしに』。一枚の写真を手がかりに物語が始まる本書は、前作の緊張した文体に比し、伸びやかとも思える、語りの声が聞こえてくるような長編。南アの現代史を生き抜いてきた一人の女性の奇跡がくっきりと見える作品。
書評情報:
稲葉真弓さん/山形新聞 2001.4.1
内容説明
1990年の南アフリカ。悪名高いアパルトヘイトは崩壊したが、来るべき秩序はまだ不透明。不安、希望、混乱の渦。そんな状況下では「私と娘」の関係も「私と彼」の関係も、曖昧さをはぎ取られる。さらなる自由と、真の人生の同志を求め、傷つきながら、新しい出会いに心を震わせて生きる女性、ヴェラの物語。南アのノーベル賞作家が、主著といわれる『バーガーの娘』を凌駕する感動的な作品を書いた。題は芭蕉の句から。
著者等紹介
ゴーディマ,ナディン[Gordimer,Nadine]
1923年、南アフリカのジョハネスバーグ近郊、スプリングスに生まれる。20歳のとき、ジョハネスバーグのヴィットヴァテルスラント大学に1年間、聴講生として通う。25歳で、短編集『顔と顔を合わせて』(1949年)で本格的なデビュー。最初の長編小説は『いつわりの日々』(1953年)。その後、10作の長編小説、200以上の短篇作品を発表。『保護管理人』でブッカー賞受賞。1991年、ノーベル文学賞受賞。邦訳『ブルジョワ世界の終わりに』(スリーエーネットワーク、以下スリーエー)、『ゴーディマ短編小説集Jump』『現代アフリカの文学』『ナディン・ゴーディマは語る アフリカは誰のものか』(岩波書店)、『バーガーの娘』(みすず書房)、『マイ・サンズ・ストーリー』(スリーエー)
福島富士男[フクシマフジオ]
1951年宮崎市に生まれる。一橋大学卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。専攻アフリカ文学。現在東京都立大学教授。著書に『アフリカ文学読みはじめ』(スリーエー)。共著書に『今日の世界文学』(放送教育振興会)、『激動の文学』(信濃毎日新聞社)。訳書ホーヴェ『骨たち』(講談社)、同『影たち』(スリーエー)、ゴーディマ『ブルジョワ世界の終わりに』(スリーエー)、同『バーガーの娘』(みすず書房)、サロ=ウィワ『ナイジェリアの獄中から』(スリーエー)ほか
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感想・レビュー
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秋 眉雄
無識者
メルコ