出版社内容情報
ラテンアメリカの神話世界から、コロンブス以後の歴史へ。巨匠が描き出す壮大な叙事詩。全3巻。
内容説明
これは小説なのか、随想なのか、叙事詩なのか、はたまた証言か、いや年代記かと問われても…文学のジャンルに引かれる国境線の存在を、わたしは信じない。
目次
始源の声(創造;時;太陽と月;雲;風 ほか)
旧き新世界(1942 大海原―インディアスへ向かう太陽の航路;1492 グアナアニ―コロン;1493 バルセロナ―栄光の日;1493 ローマ―アダムの遺言;1493 ウエソツィンゴ―確かなものはどこにある、根をもつものはどこにある? ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
5
ラテンアメリカ500年の歴史を綴った作品。歴史書ではないし、小説とも言えない。何百もの断章を積み重ねることで、重層的に人々の生き様が浮かび上がる。数多くの人間が現れては消え、殺しては殺され、打算と虚栄の陰で血が流され、支配者はやがて支配される。淡々とした文章ながら燃えて爆ぜるような印象を受けた。数年に一度現れる名書。
ゐ こんかにぺ
1
スペイン人のインディオに対する扱いを告発したラス=カサスもインディオに対してそこまで同情的なのではなく、「邪教を信じるなら地獄に落ちればいい」という、ある種聖職者的な考え方。案外まえがき的な神話集のほうがありだったような気すら。2012/12/07