出版社内容情報
異国の首都ヴィレットに単身渡ったルーシーが辿る数奇な運命――シャーロット、<最後の長篇>。
内容説明
たった一人で異国の首都ヴィレットに渡ったルーシーの辿る数寄な運命とは…ゴシックの魅惑溢れる『最後の長篇』。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
281
忠実な報告者、メアリー・スノウが語る物語といった形式をとる。最初の3章までは、もっぱらグレアムとポーリーナのことが語られるので、この2人を主人公にした物語だと思って読み進めていた。ことにポーリーナが魅力的であるがゆえに、そこからルーシーの物語に転じた時には、読む速度までが落ちたほどである。タイトルのヴィレットは架空の町のようだが、シャーロットの経歴からすると、モデルになっているのはブリュッセルのようだ。途中からは、ルーシーの苦難の物語めいてくるが、後半ではグレアムと再会し、さらに上巻の最後にはポーリーナ⇒2025/08/22
まふ
120
シャーロット・ブロンテのもう一つの傑作と称される作品。妹のエミリーとともに留学したことのあるベルギーを舞台にして、身寄りのないルーシーの教師としての健気な奮闘を描く。登場人物も多くなく、読みやすい。名付け親とその息子の医師にベルギーで邂逅する、という「出来すぎた偶然」が出来すぎだが、必死で生き延びようとする若い女性の気持ちが伝わってきて物語の世界に浸ってしまう。下巻が楽しみである。(G1000)2025/02/06
ケイ
115
前知識なく読み始めたから、物語に翻弄された。ヴィレットは誰かの名前なのか、主人公はポリーなのかルーシー・スノウなのか、話がどう展開するのか。最初の数十ページに登場したポリーがあまりに印象深く、彼女との再会をひたすら待ちながら読み進む。そのうちに、これはスノウがヴィレットという街で経験する物語なのだと漸く理解した。スノウのように、経済的に頼れる親戚がほとんどなく、一人で生きていくのは、シャーロット・ブロンテの時代にはなかなかハードだ。感想は下巻で。、2016/12/23
NAO
70
身寄りがなく、美しくもなくぱっとしないルーシーが、故郷の国を離れ、ヴィレットで寄宿学校の教師として暮らす日々。この作品は、シャーロットのブリュッセルでの教師経験をもとに書かれた。感想は、下巻で。2019/10/31
星落秋風五丈原
35
【ガーディアン必読1000冊】名付け親ミセス・ブレトンの所に引き取られた孤児ルーシー・スノウの前に、舌足らずなおしゃまな娘ポリーが現れる。一時失業状態だったルーシーは、突如『フィールド・オブ・ドリームス』のレイ・キンセラになる。物語の展開上、どうしても彼女をヴィレットに来させたかったので、旅先で知り合った女性のとりとめもない話では弱い動機になると踏んだのだ。シャーロット・ブロンテの自伝的要素が色濃く出ている作品。上巻ラストではルーシーが心配していたおしゃまさんポリーが美しくなって再登場。2019/06/28




