アリアドネからの糸

アリアドネからの糸

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  • サイズ B6判/ページ数 375p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622046196
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0095

出版社内容情報

2005年8月下旬重版出来

<いじめの政治学> から <ロールシャッハ・カードの美学と流れ> まで、推理と構想力が生んだ長短38篇。


中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県に生れる。京都大学医学部卒業。現在 甲南大学文学部人間科学科教授。著書『中井久夫著作集――精神医学の経験』全6巻別巻2(岩崎学術出版社、1984-91)『最終講義――分裂病私見』(みすず書房、1998)ほか多数。訳書にエレンベルガー『無意識の発見』上下(共訳、弘文堂、1980)のほか、みすず書房からはサリヴァン『現代精神医学の概念』『精神医学の臨床研究』『精神医学的面接』『精神医学は対人関係論である』『分裂病は人間的過程である』、ハーマン『心的外傷と回復』、バリント『一次愛と精神分析技法』、さらに『現代ギリシャ詩選』『カヴァフィス全詩集』『リッツォス詩集 括弧』、ヴァレリー『若きパルク/魅惑』などが刊行されている。最近作にはヤング『PTSDの医療人類学』(共訳)『エランベルジェ著作集』(全3巻)がある。



内容説明

第三エッセイ集。匂いや兆しなど、ニュアンスに対する著者のアンテナ感覚が生んだ文章は、これまで同様、多方向にわたる―いじめについて、本について、色について、記憶について、その後の阪神大震災について、PTSDについて、ヴァレリー詩の秘められた構造について、創造と癒し序説など、長短32篇と詩6篇を収録。巻末の「ロールシャッハ・カードの美学と流れ」は、ホームズ=ギンズブルグばりの推理を重ねたみごとな謎ときである。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

棕櫚木庵

22
<1/3> 読書メーターで『いじめある世界に生きる君たちへ』という本を知り,その元になった論文が収録されているという本書の方だけが図書館にあったので,こちらを借りて読んだ.第1部の「いじめの政治学」がその論文.非常に説得力があった.第2部,3部は個人的,および精神医療に関わる回想・その他を収める.いじめと阪神淡路大震災の陰が濃い.記憶論が興味深かった.第4編・第5編は詩と詩論,第6部はロールシャッハテストなど.この辺はよく分からなかったが,記憶論に関わる部分は面白かった. 2018/04/07

こたろう

22
精神科医によるエッセイ集。「いじめの政治学」目的で手に取った。いじめが進んでいく段階を表した「孤立化、無力化、透明化」という言葉がとても印象的。学校という閉鎖的な子ども社会の中で起こり得ることが、短い文章で端的にまとめられている。みんな仲良くとか、子どもに寄り添うとか、耳触りのいい言葉でごまかしていないところがいい。命を削ってまで学校に行く必要なんてないって、大人が言ってあげないと。2015/07/18

Bartleby

22
「いじめの政治学」が評判通りとても良くて、孤立化・無力化・透明化という過程に沿って説明されるいじめのメカニズムや加害者と被害者の心理の描写に強い説得力を感じました。その他にも神戸での震災やヴァレリー論、翻訳や創作(特に文体の獲得について)の考察、ロールシャッハの美学的解釈など、どの文章もしなやかで刺激的でした。2013/11/15

朝日堂

21
1997年発行であるが、夢とロールシャッハ・テストに関する記述に誤りがある。未だに精神科医や臨床心理士は、フロイト、ユングの夢分析を必須科目として学び、ロールシャッハ・テストの解析や指摘部位による加点法について、試験を受け合格しなければならない。しかし夢もテストもこの数十年、何の役にも経っておらず、せいぜい占い師に「あなたは外向的ですが時に内向的になることもある」と言われ「なるほど」と首肯し、微弱な自己肯定感を与える程度である。夢の分析に酔い、10枚のカードを神聖化して語る筆者の熱に、より病的さを感じた。2013/07/17

きいち

16
内藤朝雄のいじめ論の源、冒頭の「いじめの政治学」がまずすごい。初期の「孤立化」の過程を切り出したことでいじめの政治としての構造がはっきりとする。たった30頁ちょっとでこのリーチの強さ、コピーして全日本人に読ませようよ、いじめはなくならなくとも、少なくとも的外れなことはしなくてすむよ。◇阪神の震災から退官までの二年間の文章たち。以前に直後の奮闘ぶりを読んだことがあるけど、並行して翻訳したり病棟の設計をして…。飄々とした雰囲気なのにこの運動量、目標にしたいけどどうすればいいのやら。2013/06/22

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