出版社内容情報
これぞ、小説! 読者は、これがあのソンタグ女史の小説かと、ビックリするだろう。読む楽しみを十分に堪能させてくれる、まさに歴史小説の傑作である。舞台はナポリ、ヴェスヴィオ火山を背景に、英国公使にして稀代の蒐集家ハミルトン卿(カヴァリエーレ)、その奥方で絶世の美女エマ、そして救国の〈英雄〉ネルソン提督、この三人が織りなす華麗かつ奇妙な三角関係がじっくりと描かれる。三者三様の心理と行動、並外れた〈愛と死〉のドラマが展開してゆく。また、この小説にはお馴染みの人物がたくさん登場して、読者を楽しませてくれる――たとえば、サド侯爵、ゲーテ、ピラネージ、ベックフォードなど。
「『火山に恋して』の中にソンタグは、18世紀末のヨーロッパの文化と政治のすべてを描き込もうとしたのだ。小説家として、歴史家として、批評家として。しかも、ここにいたって、ソンタグはそれを見事なエンターテインメントの作品としてまとめあげることをやってのけた。『火山に恋して』は稀にみる知的でかつ娯楽的な歴史小説である」(訳者あとがき)。
書評情報:
三浦雅士さん/毎日新聞 2001.5.6
松山 巌さん/朝日新聞 2001.6.3
上記ほか、FIGARO Japan 7/20号「地中海の文学を読もう」という特集のトップに紹介された。
Susan Sontag(スーザン・ソンタグ)
1933年ニューヨークに生まれる。シカゴ大学、パリ大学などで学んだのち、評論活動に入る。文化批評、映画批評、小説の分野でめざましい活動をつづけている。著書『反解釈』(ちくま学芸文庫)、『ラディカルな意志のスタイル』(晶文社)、『写真論』(晶文社)、『わたしエトセトラ』(新潮社)、『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』(みすず書房)、『土星の徴しの下に』(晶文社)など。
富山太佳夫(とみやま・たかお)
1947年鳥取県に生まれる。1970年東京大学英文科卒業。1973年同大学大学院修士課程修了。現在 成城大学教授。著書『テキストの記号論』『方法としての断片』(ともに南雲堂)、『シャーロック・ホームズの世紀末』(青土社)、『ポパイの影に』(みすず書房)、『ガリヴァー旅行記を読む』(岩波書店)ほか。訳書 マチューリン『放浪者メルモス』(国書刊行会)、ヴァン・デル・ポスト『影の獄にて』(共訳、思索社)、シービオク『シャーロック・ホームズの記号論』(岩波書店)、『隠喩としての病い/エイズとその隠喩』、『土星の徴しの下に』、カラー『ディコンストラクション Ⅰ・Ⅱ』(共訳、岩波書店)、ド・マン『理論への抵抗』(共訳、国文社)、ウォー『大転落』(岩波書店)、ショウォールター『性的アナーキー』(共訳、みすず書房)ほか。
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
Ecriture
takao
ふたば子