出版社内容情報
生と死、正常と狂気をめぐるダロウェイ夫人の一日。意識の世界と虚構が織り合わされた創造世界。
人生をこよなく愛する夫人を襲った死の不安と、アル青年の自殺話…。夜会の華やいださざめきのなかで繰り広げられる一大交響曲。
ヴァージニア・ウルフ コレクション〈全8冊〉
燈台へ／自分だけの部屋／オーランドー／波／壁のしみ－短篇集／ある作家の日記、以上既刊
三ギニー、続刊
映画情報：
1997年 英・蘭合作
監督：マルレーン・ゴリス
出演：ヴァネッサ・レッドグレーヴ
◇映画にしやすいようで、じつは難しい文学作品－by「興味深い映画の原作本」（フィガロジャポン2002.8）
内容説明
ジョイスの『ユリシーズ』と比較され、ウルフが独自の小説作法を確立した傑作。自宅で夜会を催す日の朝、５１歳のダロウェイ夫人は不意に死の不安に襲われる。ロンドンの六月の一日を、多様な登場人物の三十年余に渡る過去に重ね合わせながら描き出す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
駒子
7
流れるように自然に移り行く思考。登場人物たちそれぞれの個性が際立つ。なんて緻密で計算された構成なのだろうと驚く。しかし、退屈。ウルフは３冊目で、その手腕に感心はするのだけど、如何せん楽しめない。これが完全に理解できて、深みを味わえる人に、私はきっと一生敵わないと思う。 2017/05/24
元気伊勢子
5
ダロウェイ夫人の心象風景なのだろうか❓正直言って難しかった。ヴァージニアウルフは、以前から読みたいと思っていた作家なのでチャレンジしたのは⭕️2024/03/17
kinka
5
20年代のロンドン、上流階級の有閑マダム、ダロウェイ夫人は自身が主催するパーティ準備に勤しみながら、ふと自分の老いに気づく。一方、戦争帰りの青年セプティマスは、虚無的な思いに囚われ死を選ぶ。この本の2つの筋において共通するのは「死」だろう。そして「孤独」。世俗的で社交的で、しかし未だに少女のような処女性を持つ夫人と、内的で精神を患い、外界とは違う価値観を持つ青年。2つの筋がリンクしたその瞬間、恐らく彼女だけが、彼の苦悩や選択の意味を理解した。独りと孤独は違うこと、死で人生は終わらないことを。2016/12/03
スイ
5
ものすごい手腕。 ある一日を、多数の人物を緩やかに辿りながら描いている。 中心となる人物はいるが、他の人物もきっちり地に足がついた存在感。 長編ではないのに、人物の過去の重量まで感じられる。 面白い。 ただ、残念ながら訳と気が合わなくて読みづらかった…。 原文がそうなのかも知れないが、「自分ひとりの部屋」は大変読みやすかったので、おそらく翻訳の相性。 他の訳でも読んでみたい。2016/05/04
osakanazuki44
2
主人公自身には、大した事件は起きない。兎に角、登場人物の細かい人物描写。2021/10/21
