出版社内容情報
おのれ自身も含め、人間観察の達人だった。ちょっとした仕種や心の動きをかすめとって、ユーモラスな漫画に仕立てた。そこには、しゃれやアイロニーに富んだ短い文章がつけられ、才気と笑いの世界にみちびく。ユニークで新鮮な辻まことの仕事は、宣伝とか挿画につきものの制約をみじんも感じさせない。
この巻に収めたのは、広告画文といわれるものである。山とスキーの店の広告、電器メーカーのPR誌に絵入りでのせたセールスの手引き、ノイローゼ薬のための連作漫画、本や雑誌の挿し絵、カリカチュア。この種のものが一冊の本になるなんて、普通めったにないことだろう。そのめったにないことが、ここに実現した。
全5巻・第4回配本
辻まこと(つじ・まこと)
1913年福岡生まれ。本名、辻一。父は辻潤、母は伊藤野枝。1928年、父とともに渡仏し、およそ1年間パリに遊ぶ。1943年、陸軍兵士として中国に渡る。戦後、日本アナキスト連盟機関紙「平民新聞」に挿絵・風刺画文を寄稿。フリーのグラフィック・デザイナーとして多くの作品を描き、アイロニックな広告も評価が高い。山登りやスキーを愛したことでも知られる。1975年歿。著書に『虫類図譜』『山からの絵本』『辻まこと全画集』など。
内容説明
本全集は著者の発表した画・文(創作、エッセイ、諷刺画文、漫画、挿画)を網羅するものである。本巻は「カリカチュア・漫画」集。
目次
1 広告画文1953‐1975(秀山荘;ホルン ほか)
2 セールスマン教室1953‐1959(セールスマン教室;日立セールスマンのための法律ハンドブック)
3 山とスキー漫画1954‐1974(サンソ吸入;クランポン君行状記 ほか)
4 挿絵漫画1952‐1969(『話術の魔力は君のもの』;『発作的文明論』 ほか)
5 ミルタウン漫画ノイローゼよさよなら1957‐1958