出版社内容情報
20世紀最高の芸術家の仕事の日夜、脳髄、対話の貴重な記録。ヤナイハラの名を不滅にした書物。
内容説明
幻の本『ジャコメッティとともに』に、未発表の日記・手帖・手紙をも撰録。２０世紀最高の芸術家の仕事の日夜、脳髄、対話の貴重な記録。
目次
１ ジャコメッティとともに
２ その後のジャコメッティ
３ ジャコメッティからの手紙
４ ジャコメッティについての日記・手帖―１９６０年８月‐９月／１９６１年７月‐９月
５ アルベルト・ジャコメッティ略年譜
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
harass
33
彫刻家ジャコメッティに絵のモデルを頼まれた、哲学者矢内原伊作が彼との付き合いを文章、手紙、メモに残した記録を再編集した本。 フランス留学中に著者は、高名なジャコメッティにぜひデッサンのモデルになってくれと懇願される。二ヶ月のあいだ、彼のアトリエで椅子に座って、素描すること6時間以上を毎日かかさない。真正面から見た顔を、見て書くという単純に思えることを執拗に繰り返し、そのたびに絶望の声や叫びをあげるジャコメッティ……。彼の芸術に共感する著者だが数週間かけたせっかくの絵を平気に壊したり自分の才能に絶望する呪詛2012/05/03
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3
「絶対、絶対、絶対に明日も仕事を続けなければならない。いまはじめて道が開けかかっているのだから。きみは明日もポーズをしてくれるだろうね。そのために必要なら、きみの欲しいものを何でもあげよう。何をあげようか。金と宝石でできた王冠をあげよう。なぜならきみは王様だから。」2014/08/18
rinrin
2
【BOOK(2014)-254】!!!!!!!!!!（オールタイムベストに入る、素晴らしく優雅な本）2014/12/26
kousan
1
芸術家の芸術への執念。ただ執念それだけ。それに対峙する形でモデルとして学者として精密に芸術家の執念を描写した筆者Yanaihara氏の執念を感じる。執念と執念のぶつかりあい。名作。
白いハエ
1
内容は一貫している…「とてもよく描ける」「この仕事は不可能だ」「しかし、昨日より進歩した」「次は必ずできる」、何度も何度も繰り返し、ついに果たせず彫刻家は死ぬ。うんざりするだろうか。自分の場合は恥ずるところが多かった。これほどの貪欲さを示し、苦悩し、絶望し、しかし、不可能でない証明が不可能であるということだけを根拠に、見えるものを見えるままに描く野望に取り憑かれ続ける芸術家の「屈辱への情熱」から出る語りを、何も思わず聞くことができるだろう。「もう少しの勇気、五十グラムの勇気、あと一滴の勇気さえあれば！」2018/03/05
