出版社内容情報
20世紀の演劇形式を革新し、粛清に消えた天才演出家の悲劇的運命を、同時代人が描く忘れえぬ像。
内容説明
劇場のオーケストラ席からモスクワ演劇の全盛期を見たエラーギンにして、はじめて描き得た、創造の悲劇を自らの内に宿す「暗き天才」の像。これは、演劇の永久革命者であり、今世紀最もラディカルであったひとりの、悲劇的運命についての本である。
目次
メイエルホリトをめぐる意見の対極性
彼の創造の特徴
彼の夢想
非リアリズムとしての20世紀様式
メイエルホリトの逮捕と失踪
創造遺産
父親
母親
音楽と演劇
ペンザ
ギムナジウム
反抗期
社会主義者たち
初舞台
性格形成
ロシアへの帰化〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Fumoh
1
メイエルホリトの名は、ほとんど知らなかった。どんな芸術家なのか、興味があって読んだが、エイゼンシュタインと同様の影響力のあった舞台芸術家ということしか、この本からは読み取れなかった。というのは、あくまでこの本には、外部的な記録しか書かれておらず、彼の芸術精神の内部に入っていくことは、ほとんどなかったからだ。メイエルホリトの進歩的芸術が、いかに保守層を怒らせ、若い芸術家に勇気と熱狂を与えたか、ということはよくわかった。またボリシェビキにいち早く迎合し、ソ連の共産的演劇の第一人者になれたことも分かった。しかし2023/10/29