出版社内容情報
Young Man Luther
A Study in Psychoanalysis and History
by Erik H. Erikson
--------------------------------------------------------------------------------
北方キリスト教界の偉大な改革者、マルチン・ルター。彼は若き日に、さまざまな神経症的苦悩や父親コンプレックスと格闘し、アイデンティティの混乱に苦しんだ。その姿は、数世紀のあいだ提示されてきた、つねに強健で雄弁な、生産性にあふれたルター像とは、なじみにくい。ルターの青年期の危機は、その後、いかにして稀有な才能の開花へと結びついていったのだろうか。
第1巻では、父の希望のままに大学にすすみ、優等で卒業したばかりのルターが、ただ一度の落雷によって、過去と予想された未来を断ち切り、修道士になる誓願をたてたこと、そして、過去にさまざまな解釈が試みられてきた「聖歌隊での発作」によって、聖堂の床に倒れふしてしまうまでをみてゆく。
これらの出来事は、真正の宗教経験だったのか? それとも精神医学的な症例の重要な兆候なのか? 鉱夫たちの迷信世界のなかに生まれ、魔術的世界観に浸かって過ごした幼年期、学校と大学、母親の意味、そして父親の意味… ルターを通して、青年の自我に内在する回復力を論じる、全2冊。
第2巻:続刊
--------------------------------
Erik H. Erikson(エリク・H・エリクソン)
1902年ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M・ミード、G・ベイトソン、R・ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946-50年にかけ『幼児期と社会 1・2』(みすず書房、1977、1980))を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950-60年、オースチン・リッグズ・センターの主任医師として活躍した。1958年、本書『青年ルター』によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960-70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問。1994年歿。主著はほかに『洞察と責任』(1964、誠信書房、1971)、『アイデンティティ――青年と危機』(1968、金沢文庫、1973)、『ガンディーの真理』(1969、 みすず書房、1973-74)、『歴史のなかのアイデンティティ』(1974、みすず書房、1979)、『ライフサイクル、その完結』(1982、みすず書房、1989)、『老年期』(1986、みすず書房、1990)などがある。
西平直(にしひら・ただし)訳
1957年、甲府市生まれ。信州大学卒。東京都立大学大学院を経て、東京大学大学院博士課程修了。現在 東京大学教育学研究科助教授。著書『エリクソンの人間学』(東京大学出版会、1993年)、『魂のライフサイクル』(東京大学出版会、1997年)、『魂のアイデンティティ 』(金子書房、1998年)、『シュタイナー入門』(講談社現代新書、1999年)、共編『宗教心理の探求』(東京大学出版会、2001年)。共監訳『エリクソンの生涯』(新曜社、近刊)。
この本を購入する
--------------------------------------------------------------------------------
関連書:
E・H・エリクソン『ライフサイクル、その完結(増補版)』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 1』
E・H・エリクソン『幼児期と社会 2』
E・H・エリクソン/J・M・エリクソン/H・Q・キヴニック『老年期』
E・H・エリクソン『玩具と理性』
内容説明
内に秘めた創造性をのちにみごとに花開かせたルターにとって、青年期はいかなる意味を持ったのか?ルターを通じて青年の自我に内在する回復力を論じる。
目次
第1章 症例と事件―研究の方法論(サイコヒストリーの方法論―臨床的方法とその拡大;方法としての精神分析 ほか)
第2章 聖歌隊での発作―発作というひとつの事件をめぐる多様な解釈(修道士マルチンの発作―その多様な解釈;四つの異なるルター像―先行研究の検討 ほか)
第3章 服従 しかし誰に―幼年期・学校・修道院に入るまで(幼年期;学校と大学 ほか)
第4章 すべてか無か―理論的な中間考察(アイデンティティの混乱という視点;アドルフ・ヒトラーの青年時代―すべてか無か ほか)
著者等紹介
エリクソン,E.H.[エリクソン,E.H.][Erikson,Erik H.]
1902‐1994。ドイツに生まれる。精神分析家・思想家。アンナ・フロイトに教育分析を受け、ウィーン精神分析研究所で児童の分析に従事。1933年渡米、ボストンで児童分析医を開業しつつ、M・ミード、G・ベイトソン、R・ベネディクトなどと交流をもった。1938年スー族の幼児教育を調査し、人間の成長と文化的・社会的環境との関係を理論づけた。1939年サンフランシスコに移り、カリフォルニア大学児童福祉研究所で研究を継続、1946‐50年にかけ『幼児期と社会』1、2(みすず書房1977、1980)を著わし、彼の発達理論の基礎をなすエピジェニシスの原理を明確にした。マッカーシー旋風のとき忠誠宣言を拒否し、カリフォルニア大学を去り、1950‐60年、オースチン・リッグズ・センターの主任医師として活躍した。1958年『青年ルター』によって心理=歴史的研究方法を試みた。1960‐70年ハーヴァード大学で人間発達講座の教授。その後シカゴのロヨラ大学エリクソン幼児教育研究所顧問
西平直[ニシヒラタダシ]
1957年、甲府市生まれ。信州大学卒。東京都立大学大学院を経て、東京大学大学院博士課程修了。現在、東京大学教育学研究科助教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さえきかずひこ
roughfractus02
zikisuzuki
てれまこし