出版社内容情報
Karin Obholzer(K・オプホルツァー)
1943年ウィーン生まれ。ウィーン大学で哲学と心理学を学んだのち、1970年にDie Problematik der Boeseで学位取得。1971-1977年にウィーンの左翼系の『労働者新聞』のルポライターおよび編集者として活躍したのち、1977年からはフリーのジャーナリストとして活動。
馬場謙一(ばば・けんいち)
1934年新潟県生まれ。1958年東京大学文学部独文科卒業。1962年慶應義塾大学医学部卒業。斎藤病院勤務や群馬大学、横浜国立大学をへて、現在 放送大学教授。著訳書に『精神科臨床と精神療法』(2000、弘文堂)ベネデッティ『精神分裂病論』(1987、みすず書房)ほか多数。
高砂美樹(たかすな・みき)
1962年茨城県生まれ。1991年筑波大学心理学研究科修了。学術博士。現在 東京国際大学人間社会学部教授。心理学史・神経科学史専攻。
内容説明
1910年、ウィーンのフロイトの許に、一人のロシア人青年貴族が訪れた。彼の治療は4年に及ぶ。最も重要だとフロイトが考えたのは、患者が幼年時代にみた不安夢で、夢の中では6、7匹の白い狼がある役割を演じていた。そこでフロイトは、この患者を「狼男」と名づけた。アンナ・O、ドラ、ねずみ男、小さなハンス、シュレーバー…フロイトの有名な症例の中でも「ある幼児期神経症の病歴より」または「症例狼男」は、精神分析史に燦然と輝く成功例として知られてきた。1972年、著者はウィーンの一角に住む85歳の「狼男」に出会い、92歳のその死まで、インタビューを繰り返した。ロシアでの子供時代の日々、フロイトとの治療の詳細、保険外交員の生活、「自伝」の出版や金銭的な援助をはじめ、フロイト派がこの特別の患者を抱え込んできたこと、そして彼を終生悩ませつづけてきた女性と金銭の問題。果たして「狼男」は治癒していたのか。フロイトや弟子たちの診断は正しかったのだろうか。20世紀精神分析史の光と陰を象徴する貴重な書。
目次
1 ヴォルフマン(ユーゲントシュティールの人;精神分析の鏡の中で)
2 ヴォルフマンとの対話(父フロイト;転移の残滓;幼年時代の補足 ほか)
3 ヴォルフマンと私(死のルポルタージュ)
著者等紹介
オプホルツァー,K.[オプホルツァー,K.][Obholzer,Karin]
1943年ウィーン生まれ。ウィーン大学で哲学と心理学を学んだのち、1970年にDie Problematik der Boeseで学位を取得。1971‐1977年にウィーンの左翼系の『労働者新聞』のルポライターおよび編集者として活躍したのち、1977年からはフリーのジャーナリストとして活動
馬場謙一[ババケンイチ]
1934年新潟県生まれ。1958年東京大学文学部独文科卒業。1962年慶応義塾大学医学部卒業。斎藤病院勤務や群馬大学、横浜国立大学をへて、現在、放送大学教授
高砂美樹[タカスナミキ]
1962年茨城県生まれ。1991年筑波大学心理学研究科修了。学術博士。現在、東京国際大学人間社会学部教授。心理学史・神経科学史専攻
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