内容説明
レイプ、児童虐待、ホロコースト、家庭内暴力、戦闘参加帰還兵…具体的なさまざまな症例を通して、トラウマの諸相とその治療のあり方を描く。今後の日本に必至の課題に道をひらく代表的著作。
目次
第1部 心的外傷障害(歴史は心的外傷をくり返し忘れてきた;恐怖;離断 ほか)
第2部 回復の諸段階(治癒的関係とは;安全;想起と服喪追悼 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
79
「レイプ、児童虐待、ホロコースト、家庭内暴力、戦闘参加帰還兵など、具体的な様々な症例を通して、トラウマの諸相とその治療のあり方を描く。心の傷とその癒しに関する研究の進むアメリカにおいて、最も代表的な著作とされている。」 本書が代表的かは分からないが、べッセル・ヴァン・デア・コークの名著「身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法」にても言及されている。今やこの分野の基本的文献だろう。
GAKU
31
あるノンフィクションを読み、PTSDに興味を持ち読んでみました。PTSD研究の中ではすでに古典に属するほど定番の本で、米国では心的外傷を負った帰還兵や女性の性犯罪被害者にも読まれているそうです。色々な症例が挙げられ専門書としては解りやすく書かれてはいるのですが、全く素人の私にはまだまだ敷居が高いといえる本でもありました。とはいえいくつかの症例に関しては興味深く読む事も出来、たまには知的向上のため、このようなタイプの読書も良いものだと思う次第であります。いつもとは違う感想に早速知的向上の効果か?と自画自賛。2015/10/03
kera1019
7
内容について感想を書こうと思うと物凄い量になるので割愛しますが、ちょっと敷居が高いなぁって思いつつ読みはじめ、思った以上に時間を使いましたが噛み砕くようにして何とか読み終えました。著者が「序」で書いた『「口に出せないもの」にもう少し近づいて直面させてくれる言語を発見しようと試みた。』という言葉の答えを多少は読めた気がします。2012/11/28
riviere(りびえーる)
7
13年前に購入したまま積読だったこの本をこの数日で憑かれたように読み終わった。自分にとってこの本はいまこそ必要な本だったし、必要な時がくれば本は必ず読まれるのだとわかった。精神科医として阪神淡路大震災で活動し、文筆家としても定評のある中井久夫氏。彼によって震災の翌年に翻訳出版されたことはとても意義深い。専門的な内容でありながら一般の人も十分読める内容であることは偉大。私はこの本を13年前に生協の共同購入で購入した。戦争帰還兵や強姦被害者のPTSDについて書かれているので前半辛い記述が多い。続きはコメントで2012/04/21
月花
6
軽く読んで次回熟読予定。 被害に関しては背骨の折れた人間その一に当てはまり、その二を覗いた事もあるという自己の整理が出来た。 回復過程に関してはグループセッションは自閉症からの共感の難しさと表現の難しさから向かないだろうと思ったし、日本は欧米とは傾向が違うからこういう風には出来ないだろうと思った。2015/09/11