出版社内容情報
<人権>は普遍的原理たりうるか。ロールズ、リオタール、ローティら7人の哲学者による講義録。
内容説明
「人権」はわれわれ人類の普遍的原理たりうるか?現代を代表する7人の哲学者が1つの問いに立ち向かう。正義、法、自由、道徳…を縦横に論じた珠玉の講義録。
目次
人権をめぐる五つの寓話
万民の法
戦時の犯罪、平時の犯罪
人権、理性、感情
他者の権利
自然法の限界と邪悪のパラドックス
多数決原理と個人の権利
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
19
100分de名著のローティ本を経由して、この本を手に取った。ボスニア内戦をめぐる知識人たちの講演集。講演集ではあるけれど、なかなかハード・トゥ・リードだ。ローティさんは、ざっくり次のようなことを言っている→「セルビア人にムスリム人の人権を訴えても有効でない。なぜなら、セルビア人はムスリム人を人間と考えていないのだから」。で、続けて難しいことを言う→「いわゆる人権を規定する道徳的な合理性って裏付けできるの?」。さて、人権も道徳も合理性も無理なら、どうするのか?ローティの回答が難解だけど感動的だ…2024/09/02
イボンヌ
9
リチャードローティの本を図書館で探したのですが、この本しか見つからず。みすず書房が良書ばかり出版している、こと以外解らず難解でした。キャサリン・マッキノン(法学者)の、セルビア軍についての記述には胸が痛みます。 オックスフォード大学で行われた連続講義の講義録を翻訳した本とのこと。ジョン・ロールズさんも2018/02/19
田蛙澄
3
ローティの感情教育についての論文が目的で読んだけど、ほかの論者も多彩で面白かった。ローティの理性的な道徳を考える限り基礎づけ主義からは抜け出せないというのは確かにと思う。残虐な合理性はいくらでもあり得るし、共感によってしか結局人は道徳的になれないとは思う。 ロールズの議論は話としてはわかるけど、結局ものわかりのいい西洋的な文化の国にしか通じないのではという感じがする。 自然法と邪悪のパラドックスも邪悪を裁くことの困難さを説いていて興味深い。裁くときには魔法が解けた邪悪の脱け殻でしかないという。2021/11/28
tooka
3
さすがに著名な方々、目的意識を持って読むと得るものはある。人権を軸に論考されているものの、人によって哲学書そのものだったりバリバリのフェミニズムだったりして統一感はない。個人的には西洋個人主義というか、「おまえら正直第三世界見下してんだろ、あ?」と思うところがある。2009/05/08
YayoiM
1
ローティはやはり素晴らしい。私もプラグマティストに一番近い立場と思うので、感動vvv マッキノンは久しぶりに読んだけど、ザ・フェミニストの舌鋒で、うーん、男たちを批判するのはいいんだけど、それもこれも男のせいにしても問題は解決しないんでは…という印象。ロールズは、まあ、まともに司法制度を確率できてる先進国には通用するんですが、、、と思いました。でも授業のネタとして、ユーゴ紛争の話は使えることが多いです。かなりどぎついし、読んでてムカつきますけどね。セルビアだけじゃないのは判ってるけど、こういうサディスティ2015/09/15