出版社内容情報
著者没後に見出されたノート1973-87をここに公刊。多岐にわたる文書は著者の思想の原石を示す。
内容説明
本書は、著者没後に見出された3冊のノートを一書にまとめた。1943年から1987年にかけて断片的に記された多岐にわたる文章のそれぞれは、著者の思想の原石であり、このノートが、著者座右の、いつも自己の原点に立ちかえるよすがであったことを示す。
目次
1 折たく柴の記
2 日記
3 春曙帖
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nbhd
16
きのう放送していた丸山真男の特集番組に触発されて、久しぶりに本棚から手に取った。「コミュニズムは今日もなお反ファシズムだと自称しているが、それは単に政治的にそうなのであって、彼もまた同様に、党員に、考察や批評抜きの盲目的な服従によって信ずること、従うこと、闘うことを要求している。イタリーで見られる文句の四分の三は、モスコーの壁にもっていけるのであろう」(ジイドの日記)→「政治が人間をつかまえるやり方の類似性」(丸山)。2014/07/20
KAZOO
14
昔読んだ本の再読です。基本的な考え方の基本がここには掲載されています。講義用のノートというのでしょうか、まだ考え方をまとめて醗酵させる前の段階のような感じがします。いつも講義前にはかならずこのようなノートをご自分の考え方の再確認で作られていたのだと思われます。私も全共闘に邪魔されていた最後の授業に出ていたからわかるのですが、よくノートを作られていたことを目にしています。2014/07/31
なっぢ@断捨離実行中
7
死後出版を想定していたのか、モラリストの警句集のような立派な「文学作品」として成立している。戦後を代表する知性の鋭利かつ生々しい思考の軌跡に圧倒されっぱなしだった。「エリート主義者」「進歩的知識人」と左右双方から批判を受けることが多かった丸山だが、本書から浮かび上がる丸山像が評者には――彼の思考ベースがドイツにあることを承知で――オークショット的な穏健保守のように見えてならない。彼は近代日本という矛盾に満ちた存在論的条件を引き受けた上で戦後民主主義の虚妄を選択している。反動でも迎合でもない真っ当な道だ。2017/02/22
mori-ful
3
「戦後の「理念」に賭けながら、戦後日本の「現実」にほとんど一貫して違和感を覚えて来た私の立場の奇妙さ! それは悲劇だか喜劇だか知らない」 ツヴァイクを勧めていて意外。2025/05/25
Ikkoku-Kan Is Forever..!!
3
なんというか、「見ちゃった」って感じ。思考が言語化されるその「瞬間」がこのノートを読むとよくわかる。2013/11/16
-
- 和書
- 軽やかな装い春夏ニット
-
- 和書
- 鼻/杜子春 フォア文庫