天皇の逝く国で

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  • サイズ B6判/ページ数 351p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622036470
  • NDC分類 210.76
  • Cコード C0036

出版社内容情報

米軍占領下の東京に育った混血女性が、自己の歴史と、三人の日本人を描く“もう一つの戦後史”。

内容説明

著者は、昭和天皇の病いと死という歴史的な瞬間に東京にいた。そして天皇の病状が刻々報道され、自粛騒ぎが起こるなかで、日本人の行動様式と心性、そしてそこにさまざまな形で顕在化したあまたの問題に想いを巡らせた。登場人物は、“体制順応という常識”に逆らったために、ある日突然“ふつうの人”でなくなってしまった三人―、沖縄国体で「日の丸」を焼いた知花昌一、殉職自衛隊員の夫の護国神社合祀に抗した中谷康子、天皇の戦争責任発言で狙撃された本島長崎市長と、もう一組、著者自身とその家族である。かれらの市民生活の日常にそって、問題は具体的に考えられる。著者が、みずからの個人史に重ねて描いた現代日本の物語。

目次

「哀のパラドックス」(詩)
1 沖縄―スーパーマーケット経営者
2 山口―ふつうの女
3 長崎―市長

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

風に吹かれて

3
1994年刊。昭和天皇の病と死が日本を覆っていた1年、著者は日本に滞在し、沖縄国体で「日の丸」を焼いた知花さん、殉職自衛隊員の夫の護国神社合祀に抗した中谷さん、天皇の戦争責任発言で狙撃された本島長崎市長と直接話をし、彼らの生き方に迫り、それらの出来事があぶりだす日本という「国」の本性を考察している。日系アメリカ人である著者の個人史も併せ描きながら。「少数派がたたかっているのは、彼ら自身のためであるのと同時に、多数派のためでもあるのだ(P170)。」少数派を抑圧するかしないかが、民主主義の要ではないか。2015/05/21

のんき

2
自らの個人史を重ねながら、長い物には巻かれろ的常識に異を唱えた三人を追う。常識を常識だからと無批判に受け入れることへの警鐘を鳴らしながらも、実際に異を唱えるとどういうことになるかが具体的に描かれる。安易に解決できるようなことではないと痛感させられる。2009/10/14

紫苑

1
天皇制への関心から簡単に読み始めたが、軋轢のあった父がまさに大喪の礼の日に倒れ、病院も手薄な状況を実感したあげくに数時間で死去したので、読むと同時に記憶を辿ることになり、いろいろな葛藤なしには読めなかった。受洗しているがキリスト教についても考えるところがあり、信者である家族との行き違いを反映して思うところがあった。最も感銘を受けたのは、『手紙』を読んでおり、狙撃の経緯も辿っていた長崎市長の「日の丸会」と改憲についての述懐だった。これ以上の感想は控えたい。2022/02/13

Hong Kong @新潮部2025

1
先に書かれた、英語バージョンの方と同時進行で読むつもりが、日本語のほうを一気読み。ノーマさんいわく、英語で書いているときは、登場人物も語り手も、もっと自由に振る舞えたように思えると。気になる表現の幾つかを確認しながら、翻訳前の英語を読もうと思う。2016/04/10

メルセ・ひすい

1
14-75 必読書 ★5 基地内のアメリカン・スクールに通い、大方の日本人の知らない ゙戦後゙ を生き、いまも ゙太平洋の上空に宙吊りの状態゙ のままの精神・・・心。 併読!★①『戦後日本におけるアメリカのソフト・パワー』。②『ライシャワーの昭和史』 ☆シカゴ大教授…気鋭の日本文学・日本近代文化 専攻…学者の著者。。昭和天皇の病と死の時期の日本人の行動様式・心性他を知花昌一、中谷康子、本島長崎市長を中心に描き考察したもの。著者の二つの歴史と文化を生きた透徹した眼で描いた日本論。2011/03/27

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