ヌガラ―19世紀バリの劇場国家

ヌガラ―19世紀バリの劇場国家

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  • サイズ A5判/ページ数 279,/高さ 22X16cm
  • 商品コード 9784622034810
  • NDC分類 389.246
  • Cコード C1022

出版社内容情報

「ヌガラ」とよばれる、バリ島の伝統的小王国の分析を通して、刺激的な国家論――権力のヒエラルキーなき〈劇場国家〉――という概念を構築する。

内容説明

かつてバリ島には数百もの小王国“ヌガラ”があった。本書は、そこに見られる親族・社会関係、農業・通商組織、政治関係、そして国家儀礼・宗教観念・神聖王制の研究から、非常に刺激的な国家論―劇場国家論―を構築する。

目次

序章 バリと歴史学的方法
第1章 政治的定義づけ―秩序の源
第2章 政治の解剖―支配階級の内部組織
第3章 政治の解剖―村落と国家
第4章 政治的言述―演出と式典
結論 バリと政治理論

著者等紹介

ギアツ,クリフォード[ギアツ,クリフォード][Geertz,Clifford]
1926年米国サンフランシスコ生まれ。アンティオク・カレッジで哲学の学士号(A.B.,Antioch College,1950)、ハーバード大学社会関係学研究科で人類学博士号を取得(Ph.D.,Harvard University,1956)。カリフォルニア大学(バークレー校)助教授、シカゴ大学助教授・準教授・教授を経て、1970年にプリンストン高等研究所の社会科学部門教授となった。1982年よりハロルド・F・リンダー特別教授、2000年より同部門の名誉教授

小泉潤二[コイズミジュンジ]
1948年東京生まれ。1973年東京大学教養学部教養学科卒業、1975年東京大学大学院社会学研究科博士課程に進学後、スタンフォード大学に留学、人類学博士号を取得(Ph.D.,Stanford University,1981)。アルバータ大学・愛知県立大学・新潟大学を経て、現在現阪大学理事・副学長、附属図書館長、大学院人間科学研究科教授。プリンストン高等研究所社会科学部門ハンズマン招聘研究員(1996‐97)、グローバルCOEプログラム「コンフリクトの人文学国際研究教育拠点」拠点リーダー(2007‐)、人類学会世界協議会(WCAA)代表幹事・会長(2005‐09)、国際人類民族科学連合(IUAES)事務総長(2009‐)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

roughfractus02

11
19世紀パリの王国は小王国から成る王族階級ヌガラと多数の村落共同体、水利組合、互助会から成る農村共同体デサと複雑な関係を結んで成り立っていた。著者は両者の内(行政、司法、治安等)や両者間の国家義務や納税等の関係を「多元的集団性」と表現し、その複雑なシステムを影絵劇の儀式が統御していると捉える。神との関係と王国の歴史、抗争を上演するこの劇に支配階級が多大な費用をかけることで経済的な財の集中を防ぎ、その思想において国の威信を伝播したという。本書には1908年オランダの砲撃に王国の人々は死の行進で抗したとある。2024/04/10

Mentyu

3
バリ島へ行くことになったので予習をかねて再読。最初に読んだときは、劇場国家という言葉に引きずられて、社会が全て儀式化しているイメージになってたけど、今回ゆっくり読んでみたら、結構ドロドロしているというか、暴力性はかなりあったということが分かった。つまるところ、現場レベルの複雑細分化した権力関係で実務面(紛争なども含む)が完了して、上位の国家レベルでは、世界の秩序を維持し、再確認するための儀式に徹したということだった。日本の平安王朝も儀式を徹底することで有名だけど、実務もやるのでそこは違うなと。2024/01/22

晩鳥

3
かつてバリ島にあった小王国(ヌガラ)を通じて、「劇場型国家」という概念について述べた本。バリ島の社会関係、農業、政治など様々な点が詳細に書かれている。日本も神聖王制や儀式化した位階制などバリとよく似た点があるという。バリと日本を比較したものも読んでみたいと思った。2020/08/20

Mentyu

2
バリの劇場国家「ヌガラ」の王は、その存在自体が演劇における一つの駒でしかなく、人格を完全に抹消した「記号」でなくてはならなかった...。近代的な国家像のみならず、物神化を空虚とする見方さえも正面からぶち壊していく内容は、爽快ですらある。2017/05/31

てれまこし

0
19世紀バリで見られた国家形態をもとに、アジア、アフリカ等の国家を分析するための理念型を構築するという、人類学と比較政治学を横断するような野心的な仕事。民族誌を通じて政治史には現れない社会経済史を掘り起こすというのは、柳田国男の民俗学にも通ずる。地理的条件と生活様式(稲作)の類推から政治制度も作られていたという点が示唆に富む。人類学者がこれをどう受け止めたか知らないが、政治学者の方では象徴とかパフォーマンスに関する理屈のみが国際関係論の構築主義や制度主義で取り上げられたのみのようだ。政治理論家はほぼ無視?2017/07/15

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