出版社内容情報
自ら神話となった天才的ユダヤ人歴史家の人生と思想を、気鋭の中世史家がユニークな手法で描く。
内容説明
1963年に死去するやいなや、エルンスト・カントロヴィッチは記念碑となってしまった。彼の遺言は、身辺の書類すべてを破棄するよう命じていた。極端な秘密主義のために、彼の生涯については、ほんの僅かなことしか伝わっていないのだ。だが彼は既に死の数年前に、自分の入るみごとな墓を用意していた。『国王の二つの身体』と題されたこの著作が、以後、著者カントロヴィッチと同一視されることになるのである。壮大な記念碑をめぐる質問を捨てて、物語を、カントロヴィッチをめぐり網の目のように交錯するいくつもの物語を見てゆくことにしよう。この歴史家のさまざまな物語へと分け入ることにしよう。
目次
E・Kという名の記念碑をたずねて
隠された身体
化身
失われた身体
異邦の身体
二つの身体