出版社内容情報
トーマス・マンの次男で第一級の歴史家の自伝的回想。家族の肖像、寄宿学寮、ベルリンでの発見。
内容説明
トーマス・マンの第3子として生まれ、『近代ドイツ史』で知られる歴史家の自伝的回想である。1909年に誕生した著者の幼児期から、第1次世界大戦、ヴァイマル共和制を経て、1933年のヒトラーの政権掌握の時代までをいきいきと語る。マン家の人々―父トーマス、母カチア、才気煥発な姉エーリカ・兄クラウス、弟妹たち―と、伯父ハインリヒなどの親族を抑制された筆致で描き、『魔の山』を創出する重要な契機も明らかにされる。そして両親からの独立の過程で経験することども―ボーイスカウト活動、ザーレム校の寄宿学寮生活、ミュンヘンでの大学生活の開始、ベルリンでのリカルダ・フーフとの親交、炭坑労働…。なかでも寄宿学寮長クルト・ハーンとの出会いは、著者の生き方に永続的な影響を与えることになる。稀有な魂の成長の記録。
目次
1 序幕
2 戦争
3 泣く、笑う
4 読む
5 恐れ
6 死、初めてのとき
7 脱出の試み
8 ザーレム
9 ドイツでの学生時代
10 汎ヨーロッパ運動
11 ベルリン
12 もう一つの体験