出版社内容情報
新聞「日本」を創刊した明治の言論人・国民主義者の生涯に近代ジャーナリズムの形成史を描く。
内容説明
「国民」という観念を、日本天然の「資」に現実化しようと希求した明治言論人の姿。子規、如是閑ら周辺の群像とともに、近代日本ジャーナリズムの形成期をえがく。
目次
序章 羯南という人
第1章 青春彷徨
第2章 覇気鬱勃
第3章 筆陣堂々―初期議会のころ
第4章 筆風挾霜―日清戦争以後
第5章 雲山茫々
終章 羯南の“常”の立場
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぷほは
3
「文化」という用語を始めて意識的に「文明」という用語と区別して使用しはじめたのは明治二十年代の三宅雪嶺や陸羯南といった国粋主義者たち……ということだったので、図書館の電子書籍からその評伝。じっさいは陸羯南は国粋主義者ではなく「国民主義者」という自称が当てはまる人物だというのがよく分かった。正岡子規とのBLや、その短歌論争において思想や調べといった概念上の位階をめぐる議論の中で、子規の中に夏目漱石からの手紙――cultureとは思想を学ぶこと=教養である――の文字の残響が聞こえてくるという話は興味深かった。2021/08/15