出版社内容情報
民族とは、国家とは。ラカンを通してヘーゲルを読み直しつつ現代を考える斬新な論理学=倫理学。
内容説明
「享楽」という語を鍵語に、この最も刺激的な現代思想のニューリーダーは、ヘーゲルの弁証法とラカンの精神分析と現代イデオロギー批評の三つを軸に、冷戦以後の世界のあり方を解読しようとする。民族再生の画期にあっては、どうして民族神話が登場するのか。国家とは、法とは、大文字の他者とは何か。大文字の真実はなぜ常に政治的なものなのか?数々の映画や小説も例にあげつつ、まさにエネルギッシュな議論が展開される。90年代の『アンチ・オイディプス』ともいうべき、斬新な論理学=倫理学であるといえよう。
目次
序論 ある笑い話の運命
第1章 大文字の一者について
第2章 淫らな同一性
第3章 ヘーゲル的ララング
第4章 大文字の他者について
第5章 終わり良ければすべて良しか?
第6章 大文字の物をめぐる大騒ぎ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
5
訳が大文字連呼し過ぎてストレス不可避。ラカニアンでもマルクス主義者でもなく、もちろん両者でありながらも、less than nothing以前ではヘーゲリアンとしての最高の到達点の一つ。自分の要素の内に自分の対立物を見出すシニフィアンの逆説を突き詰めて、そのキルティングの遡及的効果がもたらす統一性と遡及的に措定される前提を社会事象やハイカル・サブカルに交差させるパワフルな考察が、この時点からなお現在まで飽きるくらいに忠実に反復され続けているのがよく判る(本当に飽きる)。ヴィトゲンシュタイン論も非常に巧妙。2014/06/24