出版社内容情報
ニコラウス・クザヌスに始まり、デカルト、スピノザ、ライプニッツ、啓蒙の時代をへて、ヘーゲル、アインシュタインまで、ヨーロッパ近代全体の思想や諸科学の場や意味を辿ろうとする『認識問題』全4巻は、その大胆かつ詳細きわまる試みによって、20世紀思想史上に屹立している。それは、ドイツの碩学カッシーラーの、まさしくライフワークであった。
原書第2巻の後半部である本書は、ニュートン学派についての考察から始まる。全体の構成は「ニュートンからカントへ――18世紀における科学と哲学」「批判哲学」の二部から成る。ニュートンを筆頭に、ダランベール/バークリー/オイラー/モーペルチュイ/プルーケ/ボスコヴィチ/ライプニッツ/ヴォルフ/リューディガー/ロック/ヒューム、そしてカントを俎上に載せ、哲学史の結節点を丹念に追跡しつつ徹底的に論究している。
Ernst Cassirer(エルンスト・カッシーラー)
ドイツの哲学者。1874年旧ドイツ領ブレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。ヘルマン・コーエンの下でカント哲学を学び、マールブルク学派の一人に数えあげられるが、近代認識論史の大著である本書『近代の哲学と科学における認識問題』(1-3巻、1906-1920、4巻、1950)や『実体概念と関数概念』(1910)で独自の立場を確立し、さらに『シンボル形式の哲学』(1923-1929)で言語・神話・宗教・芸術などを包括する文化哲学の体系をつくりあげた。1933年、ナチスの支配と同時に亡命を余儀なくされ、オクスフォードからスウェーデンをへて、1941年以後アメリカで活躍する。1945年4月、ニューヨークで没。著書は他に『自由と形式』(1916)『カントの生涯と学説』(1918)『ルネサンス哲学における個と宇宙』(1927)『啓蒙主義の哲学』(1932)『現代物理学における決定論と非決定論』(1936)『人間』(1945)『国家と神話』(1946)などがあり、その多くが邦訳されている。『認識問題』全4巻は、みすず書房より続刊予定である。
訳者:
須田 朗(すだ・あきら)
1947年千葉県生まれ。東北大学大学院哲学専攻修了。弘前大学助教授を経て、現在 中央大学文学部教授。著書『もう少し知りたい人のための「ソフィーの世界」哲学ガイド』(NHK出版)『哲学の探究』(共著、中央大学出版部)『人類の叡智に学ぶ』(共著、中央大学出版部)ほか。訳書 ゴルデル『ソフィーの世界』(監修、NHK出版)アドルノ『否定弁証法』(共訳、作品社)ガダマー『理論を讃えて』(共訳、法政大学出版局)マギー『哲学人』(監訳、NHK出版)ほか。
宮武 昭(みやたけ・あきら)
1949年北海道生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程中退。現在 中央大学文学部教授。論文「ヒュームの懐疑主義と自然主義」(「中央大学文学部紀要」1998)ほか。訳書 カント『天界の一般自然史と理論』(岩波書店)(以下、いずれも共訳)ハイムゼート『近代哲学の精神』(法政大学出版局)ブラウン『ラヴズ・ボディ』(みすず書房)アドルノ『否定弁証法』(作品社)リーフ『フロイト――モラリストの精神』(誠信書房)ほか。
村岡晋一(むらおか・しんいち)
1952年熊本県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在 中央大学理工学部助教授。著書『哲学の探究』(共著、中央大学出版部)。訳書 ジェイ『アドルノ』ベンヤミン『パサージュ論』カッシーラー『シンボル形式の哲学3』(いずれも共訳、岩波書店)カッシーラー『認識問題4』(共訳、みすず書房)ハブロック『プラトン序説』(新書館)レーヴィット『ヘーゲルからハイデガーへ』(作品社)。
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既刊:
E.カッシーラー『認識問題2‐1』
E.カッシーラー『認識問題4』
内容説明
近代哲学は、いかにしてカント哲学へと収斂していったか。ニュートン、ライプニッツ、ロックらを俎上に載せ、哲学史の結節点を丹念に跡づける。更に後半では批判哲学の展開を徹底して論究する。
目次
第7部 ニュートンからカントへ―一八世紀における科学と哲学(方法の問題;空間と時間;存在論―矛盾律と充足理由律;意識の問題―認識の主観的基礎づけと客観的基礎づけ)
第8部 批判哲学(批判哲学の成立;理性批判)
著者等紹介
カッシーラー,エルンスト[カッシーラー,エルンスト][Cassirer,Ernst]
ドイツの哲学者。1874年旧ドイツ領ブレスラウ(現ポーランド領ヴロツワフ)に生まれる。ヘルマン・コーエンの下でカント哲学を学び、マールブルク学派の一人に数えあげられるが、近代認識論史の大著である『近代の哲学と科学における認識問題』(1‐3巻、1906‐1920、4巻、1950)や『実体概念と関数概念』(1910)で独自の立場を確立し、さらに『シンボル形式の哲学』(1923‐1929)で言語・神話・宗教・芸術などを包括する文化哲学の体系をつくりあげた。1933年、ナチスの支配と同時に亡命を余儀なくされ、オクスフォードからスウェーデンをへて、1941年以後アメリカで活躍する。1945年4月、ニューヨークで没
須田朗[スダアキラ]
1947年千葉県生まれ。東北大学大学院哲学専攻修了。弘前大学助教授を経て、現在、中央大学文学部教授
宮武昭[ミヤタケアキラ]
1949年北海道生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程中退。現在、中央大学文学部教授
村岡晋一[ムラオカシンイチ]
1952年熊本県生まれ。中央大学大学院文学研究科博士後期課程中退。現在、中央大学理工学部助教授
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