出版社内容情報
『青色本と茶色本』、弟子たちとの関係、アイルランド、『哲学探究』、その死まで。後半生を描く。
六年前に出た本だが、買っただけで読んでなかった。読んでみたら、これが面白い。驚くほど多くの新資料を使いこなして、これまでになく深くて詳細なウィトゲンシュタイン像を描いており、決定版の名に恥じない作品である.....。(立花隆『ぼくが読んだ面白い本・ダメな本 そしてぼくの大量読書術・驚異の速読術』315頁、より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
24
ヴィトゲンシュタインがいかにあったかではなく、ヴィトゲンシュタインという人物が存在していたことこそ謎なのだ。2022/09/24
踊る猫
22
二度の世界大戦、数々の親友や著名な哲学者との出会い。だが、ウィトゲンシュタインはひたすら考え続ける。時代にコミットしてなにかを行うというより(彼が本当にノンポリだった、と考えるとそれはそれでカフカにも通じる体質の持ち主と思われて興味深いが)、人付き合いは悪かったかもしれないがそれでいて憎めない、そんなひ弱な男の姿が思い浮かぶ。そんな男の中にこんなにも凝縮された仕事を行う悪魔が潜んでいたのか、と思うとこの自伝も読み応えあり。だが哲学の解説まで期待して読むと……どうかな? 良い意味でジャーナリスティックな一冊2020/01/05
脳疣沼
6
感動的な伝記である。正直言って哲学の解説部分は理解できない。しかし、そこを飛ばして読んでも面白いのは面白いのである。2018/03/07
iwasabi47
1
クリスマスの日ごく親しい友人達に時間をわざわざ作って貰い告白した。「たいていの人たちは、私がDTと考えているようだが、しかし私はDTではない」(p.417-p.418 引用改変) LWの独特な誠実さを理解してくれる友人達がいたことが彼の幸福だったかもしれない。2017/03/22
ピエロ
0
上巻の末にケンブリッジへの帰還を果たしたウィトゲンシュタインが『探究』への道を踏み出したところから始まる。上巻よりも自伝的内容の濃さより、哲学への記述を多く盛り込み、彼の生活が哲学と強く結びついていることを前面に押し出している。冒頭に掲げられた「論理と倫理は基本的に同じ」というウィトゲンシュタインが愛読していたヴァイニンガー『生と性格』の中に哲学を入れても構わないと思う。最後にこの本のいいところは、ウィトゲンシュタインの写真が豊富にあり、下巻表紙の姿は最も美しく責務を背負った人間の姿だと思う。2012/03/06