出版社内容情報
ブーレーズ、カンディンスキーなど現代芸術を主題に、耳の特性を軸に展開する美的経験の現象学。
内容説明
知的征服器官である眼に対して、耳はどうであろうか。ブーレーズ、カンディンスキーからポップアートまで、現代芸術を主奏に、美的経験の諸相を分析する。身体と言語と芸術をとおして人間の存在の根底に迫る好著。
目次
第1部 感覚の区別
第2部 感覚的なもの
第3部 複数のものの統一
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gorgeanalogue
5
再読。留保も多く、矛盾しているように読める部分も多かったけど、「美学は哲学に至る特権的な道」であるということは、美学が存在論を更新できる可能性を持っているということだろうか。共感覚を論じる終章には「主体=肉」という表現が出てきて、間主観性に浸潤されるようにして、主体の脱主体化が予感されているようにも読める。2020/06/13
gorgeanalogue
1
現象学的美学。複数の見方が交錯して読みにくい部分もあったが、芸術における「共感覚」は「潜在性」のことなのだ、という終末は腑に落ちてほとんど感動的だった。古書値がやたら高いので、図書館本で呼んだが、読み落としている部分も多いと思うので付箋を頼りにノートを取らないと。2017/08/23