出版社内容情報
ロールシャッハの論文を主軸とし、伝記、ビンスワンガーによる「精神診断学」論他天才の全貌。
内容説明
単純な手段で複雑な関連を発見し、新しい問題を開拓することに成功するときほど研究者の創造的天性が明らかになるときはない。ロールシャッハはそのような天性の人であった。最初の本『精神診断学』が公刊されてわずか9ヵ月後、37歳で夭折したその生涯はあまりにも劇的であり、未知の部分が多い。本書にはロールシャッハを深く敬愛するエレンベルガーによる伝記、妹による思い出を冒頭におき、ロールシャッハの研究論文2篇を主軸とし、ビンスワンガーによる『精神診断学』覚書、編者による(ユング派の立場からの)ロールシャッハの病跡学的解明が収められ、さらにロールシャッハ自身によるロールシャッハ・テストの解釈事例を付している。ロールシャッハの論文は、精神疾患に関する精神分析学的事例研究およびスイスの一地方の宗派研究が圧巻をなし、時代と風土を背景としたロールシャッハ自身の人間像―実践的な検査法の考案者であるばかりでなく、芸術性ゆたかな人間の本性を深く穿つ思想家、探求者であった彼の面影をくっきりと浮かび上らせている。
目次
第1部 伝記(H.ロールシャッハの生涯と業績;少年時代のヘルマン)
第2部 学問的研究(「反射幻覚」とその類似現象について;失敗した昇華の一例と名前忘却;もうろう状態での馬泥棒;一精神分裂病患者の絵に関する分析的覚書;神経症患者における友人の選択について;一精神分裂病患者の素描の分析;連想実験、自由連想及び催眠を用いての健忘の除去;スイスの宗派と宗祖に関する若干の考察;スイスの宗派形成に関する付加的考察;知覚診断的実験について;H.ロールシャッハの『精神診断学』への覚書;スイスの二人の宗祖(ビンゲリとウンターネーラー)
11番目の、あるいはエメラルドの書板(Tabula undecima seu smaragdina))