出版社内容情報
フロイトとの訣別後8年の沈潜を経て発表した記念碑的大著。待望にこたえる明快・新鮮な完訳。
内容説明
フロイトとの訣別後8年の沈潜を経て発表した記念碑的大著。神話・宗教・文学・哲学・美学・精神病理学など広大な領域を渉猟し、人間の心理的タイプを探究する。待望にこたえる明快・新鮮な完訳。
目次
第1章 古代および中世の精神史におけるタイプ問題
第2章 タイプ問題に関するシラーの理念について
第3章 アポロン的なものとディオニュソス的なもの
第4章人間観察におけるタイプ問題
第5章 文学に見られるタイプ問題―カール・シュピッテラーの『プロメテウスとエピメテウス』
第6章 精神病理学におけるタイプの問題
第7章 美学におけるタイプごとの構えの問題
第8章現代哲学におけるタイプの問題
第9章 伝記におけるタイプの問題
第10章 タイプの一般的説明
第11章定義
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スノードロップ
14
心を内向と外向の二つのメカニズムに分け、さらにそこに思考・感情・感覚・直観の四つの基本機能を置くことで、人間の意識と無意識双方に迫った、ユングの名著。博覧強記なユング先生についていくのは大変です。でも最後まで読み進められたのは、外向性や合理性をよしとする世の中で生きにくさを抱えている、内向的・非合理的な人々に向けられるユングの眼差しが厳しくも温かかったから。人間を深く知ろうとする者必読の書。ただ、言い回しが現代にそぐわないので、新訳出ないかなぁ……。2020/12/12
roughfractus02
9
タイプとは個性化に向かう人格(パーソナリティ)を座標化し、内向性/外向性の2軸と合理的な思考・感情、非合理的な感覚・直感の4象限での偏移を表す8つの傾向である。ゆえに、人生の中で変容するこれらタイプは、従来の性格(キャラクター)とも異なる。著者は精神をエネルギーと見なし、客観的・集団的状況に行動を左右されるエネルギーと状況を知覚・認識した後に行動するエネルギーの2方向を神話、物語、臨床経験から抽出した。本書に「私の経験から」なる言葉が多いのは、これらタイプを語る著者も変容の中にあることを示唆して興味深い。2021/05/10
有沢翔治@文芸同人誌配布中
6
ユングは人間の無意識のタイプを分類したんです。というのも彼の師匠(これは決別後に書かれたものなんですけど)フロイトはあくまでも個人レベルとしてしか無意識を考えていなかった。 ユングはそれに反抗して、人類共通の無意識(集合的無意識)があるんじゃないだろうか?と考えたのです。https://shoji-arisawa.blog.jp/archives/50786437.html2009/01/28
バケツ
5
面白いが、非常に厚いので一部のみ。2022/10/14
山
4
本著でユングは、大昔から試みられてきた人間をタイプごとに分ける歴史を整理し分析しつつ、タイプ論を打ち出した。人間の意識の構えを外向、内向、その心理機能を思考、感情、感覚、直感に分けて考える。読み飛ばした部分もあるが、五章の「文学に見られるタイプ問題」と主論である十章の「タイプにおける一般的な説明」が面白かった。今流行りのmbtiに対する理解が深まった。私は外界に強い恐怖を抱き疲れやすいが、内向的感情を主機能に持っているので、自我に価値を置きすぎてそのようなことになるのだと思った。2024/02/04